マッチ売りの少女を現代風にひっくり返したような発想が秀逸。疲れ切ったサラリーマンが幻影の中で満たされていく構図は、SNSや承認欲求に溺れる現代人そのものを映していて、笑えるのに笑えない。1000文字という短さの中に、ちゃんと落とし穴が用意されているのが巧い。読後にじわりと残る後味の悪さが、このショートショートの真骨頂だと思う。