風邪で寝込む三竹のもとに突然の知らせが届くという導入から、巨大ツリー点灯式の実施計画書や謎のサンタといった、クリスマスらしい賑やかさとミステリーの違和感が絶妙に混ざり合っていく構成が楽しいです。「願い事の中の異物」「空白という考え方」といった話タイトルからも、些細な違和感を丁寧に積み上げていく作者らしい手法が感じられます。
シリーズの中でも比較的軽やかなトーンでありながら、白石の焦りや訪問者といった人間関係の緊張も絡めて、最後まで気を抜かせない展開になっているのが好印象でした。「冬の星座」というタイトル回での謎解きの締め方も、聖夜という舞台にふさわしい余韻を残しています。
シーズンごとに積み重ねられてきた三竹と京子の関係性を踏まえながら読むと、より味わい深くなる、シリーズらしい安定感のある一篇です。