最初は“妖精の森の綺麗な物語”だと思って読み始めたのに、気付けば胸の奥をじわじわ締め付けられていました。アウネのまっすぐな感情と、アルロフのどこか儚い優しさが本当に印象的で、二人の会話には静かな温度があります。
でもその一方で、妖精たちの“同調”によって空気が少しずつ濁っていく描写が怖いほどリアルでした。特にルートル=ウィンディーネの語りは理性的なのに、不思議と感情を煽ってくる感じがして鳥肌…。優しさで始まった物語が、いつの間にか崩壊の気配を帯びていく流れが巧みで、「この森は本当に理想郷だったのか?」と考えさせられます。
優しい世界ほど壊れる瞬間が苦しい、この作品はそんな切なさを丁寧に描いていて、気付けば続きを追わずにいられなくなる作品です。