『妊活代行』という、タイトルからしてインパクト抜群の本作。
病によって若くして亡くなり、絶対に病気にならない強い肉体を授かって異世界へ転生したカイ。
冒険者として順調な人生を送っていた彼のもとへ、ある日、政府から届いたのは、子供を望む女性を支援する妊活代行プログラムへの協力依頼でした。
まず驚いたのが、漫画になった場面を想像しやすい脚本形式です。
漫画原作脚本に挑戦したいと思いながらも、どのように形にすればよいのか具体的なイメージを掴めずにいました。
けれど、この作品を読んで「こういうふうに漫画の場面を組み立てていくのか」と、一気に見えてきました。
セリフや内心、ト書き、場面転換、回想が明確に分けられており、キャラクターの表情や動き、画面に映る情報まで丁寧に書かれています。
文章を追うごとに漫画のコマが鮮やかに浮かび、漫画原作脚本とはどのように書けばよいのか悩んでいる方にとっても、とても参考になる作品です。
そして、もちろん形式だけではありません。
冒頭からいきなり大胆な場面を見せ、「なぜこんなことになったのか」と過去へ戻る構成。
カイが『妊活代行』へ参加するまでの流れや、その相手が誰なのかという引きもテンポよく描かれ、次の展開が気になります。
真面目で少し気弱なカイと、仕事には厳しい担当者イーナとのやり取りにはコメディ要素もあり、かなり大胆な題材ながら重くなりすぎません。
さらに、受付嬢リージアが抱える事情が描かれることで、刺激的な設定だけにとどまらない人間ドラマも加わっています。
異世界転生、冒険者、政府主導の妊活制度――。
おなじみの異世界設定に、思い切った発想を組み合わせた本作。
漫画になったときの表情や動き、ひとコマまで鮮やかに浮かぶ、見事な漫画原作脚本です!