このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(342文字)
すごいと思ったところを一つだけ挙げたい。 この作品の登場人物、誰も間違ってない。 みんなその場では正しいことをしているのに、少しずつ何処かがズレた結果起こる破綻。 社会人で一番嫌なやつである。 その破綻をどう解決するかがこの作品の大きな見せ場です! レオンは、エリザベートは領地の問題に対してどうやって立ち向かうのか。ぜひこの作品を読んで見届けてほしい。 文体は静かなのにとても情熱を感じる作品です!
説明はせず、代わりにレオンが何者かとか、この世界の仕組みとかを全部見せてくれる。帳面に書かれる記号的なメモ、泥の匂い、馬の息、それだけで読者の頭に世界がぐわっと立ち上がってくる。 損失を測るというテーマを軸に置きながら、人の動き方とか信頼の生まれ方とか、経済的な話なのに全然ドライにならない。サラとレオンの会話なんか特に二人とも賢いのに会話が噛み合いながらちゃんと緊張感もあって、テンポが心地よい。
派閥争いに敗れた文官が、最果ての地で「本当の仕事」を見つけ出す物語。派手な魔法で解決するのではなく、税制や流通、教育といった「社会の仕組み」を一つずつパズルのように組み上げていく過程がとにかく心地よい。ボロボロだった領地が、レオンの手腕で劇的に、かつ論理的に再生していく様子は、最高のカタルシスです。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(175文字)
重厚な筆致で描かれる「泥に沈む辺境の絶望」と、それを「構造」として冷静に分析するレオンの冷徹な知性が火花を散らす、圧巻の導入部です。「感情」ではなく「計数」で状況を把握しようとするレオンの特異なキャラクターが、物語に強烈な芯を通しています。