現代社会に突如現れたダンジョン。主人公は最強の冒険者……ではなく、新宿区役所の公務員・高木乾三。見た目は歴戦の戦士もかくやという巨漢だが、剣も振れない見かけ倒し。しかし彼には、条例と法律という最強の武器があった。ごく普通の公務員が不良冒険者や悪徳業者を条例と法律で懲らしめる異色のお仕事ファンタジーです。
オークやゴブリンよりも厄介な"モンスタークレーマー"をやり込める高木主任の手腕が実に痛快なんです。
ダンジョンに挑む冒険者のなかには違法行為を働いたり、悪徳業者や反社会勢力と癒着する者も少なくない。恫喝や暴力だけでなく、SNSやメディアを使って圧力をかける者まで。普段は温厚で礼儀正しい高木主任ですが、身勝手な言い掛かりや不当な要求には決して屈しない。
次々と現れる無法者を法令に基づいて粛々と追い詰め、法の裁きを与えていく展開に胸がすく。どんな状況でも冷静に対処し、区民と職員を守る。まさに理想の上司です。派手なバトルはなくとも、書類と言葉で敵を叩き伏せる。これこそ大人の戦い方!
剣も魔法も使えない。それでも悪を退治して世の中に貢献する。そんな人々を守る無名の英雄の物語、ぜひ読んでみてください。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)