「フィギュアを本人化できる」というコンセプトを聞いた瞬間に、もうタイトル通りの内容しか期待していなかったのですが、その期待にきっちり全力で応えてくれる作品でした。
プロローグのテンポが非常に良いです。主人公がノリの良い一人称で読者にツッコミを入れさせながら自分の覚醒能力を説明していく構成は、いわゆる「なんちゃって厨二病」を逆手に取ったギャグとして機能していて、思わず笑ってしまいました。『自律人形化』と『贋作化』という、単体では微妙だが組み合わせると最強になる能力設定も、ちゃんと理屈が通っていて感心しました。
第1話の推しキャラ四人の紹介パートも、それぞれのキャラに「設定」「ギャップ萌え」「購入時の主人公の財布事情」までセットで語られていて、布教文章としての完成度が高いです。読者が「このキャラ好きそう」と思える要素を惜しみなく詰め込んでいる点に、作者のオタク的情熱が伝わってきます。
ただ、現時点ではまだ2話・3,500文字程度なので、「本人化した後どうなるのか」というメインの面白さはこれから始まる段階です。椅子から転げ落ちて能力が発動するという、勢いだけで押し切るオチの付け方は良くも悪くも作者の「勢いで書いた後悔はない」という言葉通りで、好みが分かれるかもしれません。
とはいえ、軽い気持ちで読めるテンポの良さと、衒いのないオタクへのサービス精神は素直に楽しめました。これからフィギュアたちが本当に動き出した時のドタバタを期待して、続きを追いたいと思います。