魔王討伐から百年、異世界は転生者が持ち込んだ日本文化に侵食され、魔法は嘲笑の対象へと落ちぶれていた。学園の底辺でいじめに耐える少女キエ。彼女は、自身が最後の“魔王の娘”であり、血を流せば世界が消える禁忌を抱えていることを思い出す。スマホが支配する歪んだ日常と、忘れられた神秘の断層。その狭間で追い詰められる彼女の姿は痛烈で、救いのない世界観がじわりと胸に残る。テンプレを拒絶し、後味の悪さすら物語の核にするアンチ・ファンタジー。
異世界転生が毎日といってよいほどのペースで起こっている日本。その影響が及ぼしたものとは日本そのものというより、日本人が抱えている心理について描かれていることが面白い作品。オススメ!
かなり陰湿で救いの薄い世界観なのに、設定の切れ味が強くて一気に読まされました。「魔法=厨二病」という価値観に侵食された異世界という発想が面白く、いじめ描写も“現代的な残酷さ”があります。特にキエの感情が壊れかけた瞬間に魔法が暴発する流れが非常に不穏でした。消滅魔法の描写も静かなのに恐ろしく、最後のお守り消失で一気に物語の底知れなさが増しています。