一族を奪われた少女ウィクス=ハイトが、絶望の白い影《ホワイトファントム》へ復讐を誓う物語。
この作品の魅力は、復讐という強い感情を、ただ激しい怒りとして描くだけではなく、肉体・精神・魂にまで及ぶ痛みとして徹底的に描いているところにあります。剣が折れ、拳が砕け、それでもなお立ち止まらないウィクスの姿からは、彼女にとって復讐が目的ではなく、もはや存在そのものを支える炎になっていることが伝わってきます。
特に素晴らしいと感じたのは、戦闘や設定のスケールの大きさです。ウォーター、神器、神を輩出する家系、そして数十億年という時間感覚。壮大な世界観でありながら、中心にあるのは「奪われた愛を忘れられない一人の少女の心」なので、設定の迫力と感情の切実さがしっかり結びついています。
また、作者様の描くキャラクターの濃さも大きな魅力です。ウィクスの危ういまでの執念、意思を持つ聖剣グラディウスとのやり取り、そしてばれい様の底知れない存在感。重厚で苛烈な物語でありながら、会話の中にキャラクターの個性がはっきり出ていて、読み進める力になっています。
ウィクスは本当にホワイトファントムへ届くのか。彼女が自らを犠牲にしてまで掴もうとする力は、復讐の果てに何をもたらすのか。痛みと執念の先にあるものを見届けたくなる、強烈な引力を持った復讐ファンタジーです。