旧校舎の理科準備室、実験として几帳面に紅茶を淹れる深山君と、そこへ逃げるようにやってきた志乃さんが出会うところから物語が始まります。
真面目で『優等生』な深山君は、お世辞にも社交的とはいえない少年なのですが、図書委員の志乃さんは、それをごく自然に柔らかく受け止め、二人の特別な空間を作っていきます。アンバランスに見えて、バランスの取れている二人が読んでいて微笑ましいですね。
四季を通した学校の空気、物語を彩る紅茶、少しずつ変化していく二人の心理描写が繊細かつ丁寧に描かれ、同じ空間に存在しているような没入感があります。
不器用な男の子と包容力のある女の子。二人が過ごす優しい日々を見守りたい方に、お勧めしたいお話です。