感想を書くことが怖い。
このエッセイは、そんなためらいがちな告白から始まります。
作者は長い間〝感想を書くこととは、作者の意図という正解を当てることだ〟と考えていました。
しかし、さまざまな作品と深く向き合い、感想を書き続けるなかで、その考えは少しずつ変わっていきます。
作品の感想とは、作者の考えをたどるだけのものではない。
作品に触れた自分の心に生まれた気持ちや考えを、自分の言葉で表すものではないか。
そう思えるようになったのです。
本文には、こんな一節があります。
「感想って、本当は解答じゃなくて、観測に近いものなのかもしれない」
作品は読まれた瞬間から、それぞれの読者の中で新たな形を持ち、その人だけの意味を宿し始めます。
正しいか、正しくないかではなく、人それぞれに異なる受け取り方があって良いのです。
作品から受け取ったものが作者の意図と違っていたとしても、その感じ方は自分にとって大切なものです。
あるがままに受け止めていい。
そんなことに気づかせてくれる作品です。
このエッセイは、読書を通してさまざまな思いを抱き、それを言葉にしようとする人の背中を、そっと押してくれることでしょう。
それは、今こうして私がこの「おすすめレビュー」を書いていること。
そのことこそが、このエッセイの力を何よりも証明していると思うのです。
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