一話一話がわずか140字ほどという制約の中で、恋愛の様々な表情を切り取った短編集です。
喜怒哀楽を分かち合った恋人との別れ、報われないと知りながら諦めきれない初恋、友の想い人に惹かれてしまう後ろめたさ…
ワンシーンだけを見せて、余白を読者に委ねる構成のため、続きが気になるというより、心の余韻が、その一場面の感情の温度をも味わって、余韻に浸るタイプの作品です。
短いからこそ言葉選びがシビアになるはずですが、無駄がなく、状況説明よりも「その瞬間の気持ち」に焦点を絞っているのが、読みやすさと心残りにつながっています。
通勤や就寝前など、スキマ時間にひとつずつ読み進めるのに向いていて、261話という数の分だけ、自分の経験と重なる一編に、読み手がきっと出会えるはずです。
派手な展開や長編の起伏を求める人には物足りなく感じられるかもしれませんが、「切り取った恋のワンシーンを覗き見る」というコンセプトに忠実で、強さが光る一作だと思います。