「名前があるのに、呼ばれるのはいつも『派遣さん』」
派遣社員として働く鈴木愛さんの、何気ない毎日を描いた物語です。
名前を呼んでもらえたこと。
仕事を任せてもらえたこと。
「ありがとう」「助かったよ」と言ってもらえたこと。
そんな小さな出来事が、思っている以上に一日を支えてくれることがあります。
反対に、誰かにとっては何気ないひと言が、自分でも驚くほど胸に残ってしまうこともある。
この作品は、そんな働く中で生まれる小さな心の揺れを、とても静かに、丁寧にすくい上げています。
けれど、つらさだけを描いているわけではありません。
誰かに頼られた嬉しさ。
何気ない会話のあたたかさ。
うまくいかない日に、自分へ少しだけあげるご褒美。
そんな小さな喜びを見つけながら、愛さんはまた次の日へ向かっていきます。
職場には、それぞれの立場があり、それぞれの事情がある。
だから簡単に誰かを責めたり、何が正しいと言い切ったりすることはできないのかもしれません。
それでも、ほんの少し相手のことを想像すること。
名前を呼ぶこと。
感謝を言葉にすること。
そんな小さな優しさが、誰かの一日を支えることもあるのだと思いました。
そして読み進めるうちに、私は愛さんへ「頑張れ」と言うよりも、「今日もお疲れさま」と声をかけたくなりました。
きっと、人はそれぞれの場所で、毎日もう十分に頑張っている。
だからこそ、ときには「もっと頑張らなくちゃ」ではなく、
「今日もおつかれさま」
そして、誰かが失敗したときには、
「お互いさま」
と言えるくらい、少しだけ肩の力を抜いてもいいのかもしれません。
そんな優しさまで、この物語から受け取った気がします。
そして気づけば、もう私の中で彼女は「派遣さん」ではありませんでした。
鈴木愛さん。
これからも、その毎日をそっと応援したいです。
『派遣さん』――そう呼ばれるたびに、胸が少しだけ痛くなる。
名前は、ちゃんとある。それなのに職場では、いつも『派遣さん』。
「みんな仲間だから」と言われて、少し期待してしまう。でも、現実はそんなに甘くない。
ミスをすれば厳しく指摘される。
同じミスをした社員には、笑いながら「気をつけろよ〜」で終わり。
その違いに気づいた瞬間、胸に刺さる小さな棘。
でも、この物語は「派遣はつらい」で終わらない。
ある日、名前を呼ばれる。
たったそれだけなのに、『派遣さん』の胸がじんわり熱くなる。
そして、別の日には――
「助かったよ、ありがとう」。その何気ない一言に、『派遣さん』は思う。
自分は、ここにいてもいいのかもしれない。
大きな事件は起こらない。劇的な展開があるわけでもない。
けれど、だからこそ刺さる。
そんな孤独を抱えながら、それでも毎日を頑張る『派遣さん』の姿が、静かに心へ入ってきます。
読者のあなたにとっても、いつの間にか『派遣さん』ではなく、彼女の名前を呼んでいるはずです。
そして、その先には――。
『派遣で働く人』はもちろん、会社という場所で少しでも「自分はここにいていいのかな」と感じたことがある人に読んでほしい作品です。
「今日も頑張る、派遣さん」。
その一言が、読み進めるほど好きになっていきます。
現在、第56話まで公開中の連載作品です。
ぜひ一緒に、『派遣さん』の毎日を追いかけてみませんか?
職場小説としてとても痛く、現場を知る人間には、笑えない読了です。
会社は、指揮命令の中間管理職にこう言うのだ。
「派遣は社員ではない。いらない教育はするな。ノウハウを渡すな。任せず属人化させないよう監視しろ。契約解除を悟らせるな」
それでいて、不和を起こすな、とも言うのだ。
結果、距離を置いたコミュニケーションにしかならず、派遣された人はどんどん削られていく。
逆に、削られず、鎧をどんどん着込んだ強い派遣とはどうなるか。豚はよくこういう生き残った方とよく一緒に仕事をする。
人に教えない。
人を育てない。
人に任せない。
人が入ってくると邪魔だから排除しようとする。
地獄である。
この作品の怖さは、「派遣さん」と呼ばれる側の痛みだけではない。
職場の中で、強くなりすぎた人間が、強さの使い方を間違える怖さまで示唆しているところだと思う。(*´ω`*)
派遣社員という立場が、外の人、派遣の人と区分される要因になる。
当事者ではなければ、ちょっとしたことのようだけれど、当事者にはいろんな悩みがある。
一つひとつの仕事、決まりごと、常識になっていること、それが分からないこと。
周りと同じ立場なら簡単に聞けても、立場が違えば聞きづらいこともある。
日々過ごすだけで、大変さ、線を引かれる切なさがある。
同じ仕事をしているのに、その立場だけで扱いが変わる。
それでも、やらなければいけないことは目の前にあって、がんばってそれを一つひとつ片付けていく。
ちょっとしたできごとを、喜びとして自分の力にしていく。
少し息苦しさを感じる毎日、そんな中でも一つひとつ積み上げていく、がんばっていて、応援したくなる主人公の物語です。