この物語にはらはら、ざわざわするような展開はありません。中学~高校と多感な時期を主に扱った幼馴染ものですが、NTRやBSSはありません。なのに面白い!それはひとえに彼および彼女のキャラクター作りおよび描写がしっかりしていて軽いタッチな筆致で読みやすくどこかコミカルに記述されているからでしょうか。彼視点および彼女視点が交互に展開されることで読者はある意味親のような視点で彼らがまさに迷い迷われながらそれでもお互いを見つめ続け一歩ずつ距離が近づいていく様に心が温まるでしょう。
純愛ものが好きな方はもちろん、NTRやBSS読みすぎて心がささくれだった方には清涼剤になるような物語です。お勧めです。ぜひご一読を。
この作品は、文体はライトノベル寄りですが、中身はライトノベルと現代文学のハイブリッドで、ラノベ市場で氾濫している定型的幼馴染ジャンルとは明確な差別化がされており、ここまでリアリズムを突き詰めた心理描写は、web小説の中では強烈な独自性を確立しています。
また、一人一人の人格が出来上がっており、記号的キャラや、主人公やヒロインを持ち上げるだけのモブなどは完全に排除されて、1つ1つの言動や展開にきちんと因果関係があって、ご都合主義や作者の都合が全く見えてこない構成。
文体も短く簡潔なものが多く、過剰にポエミーなモノローグや文学的な装飾でごまかすようなこともなく、非常に読みやすいです。
作者バネ屋さんはご自身を憑依型執筆スタイルと仰っていますが、その強みが充分に活かされた人間描写は読み応え抜群で引き込まれ、毎話つぎの展開が楽しみです。