異世界ファンタジーでは、命はしばしば「経験値」や「素材」として消費されます。
けれど、この作品は違いました。
この世界で「幻獣」は倒す存在ではなく、生きる存在です。
「モンスター」として消費されがちな異世界ファンタジーの世界で、「幻獣」というやわらかな名前を与えられた彼らは、ただ倒される存在ではなく、守られるべき命として描かれます。
傷つき、病み、疲れた「幻獣」たちを確かな「医療」で救っていく主人公と助手の姿に胸が熱くなります。
時に治療の過程で危険な目に遭いながらも、主人公たちは自らの危険より、目の前の生命を救うことを優先します。
「魔法」という安易な手段ではなく、「医療」というあえて「手間」のかかる治療法は、「生命」というものの「価値」を改めて感じさせてくれます。
作者様の優しい眼差しが生んだ奇跡のような作品です。
強さではなく、優しさに心を動かされる異世界ファンタジーに出会いたい方へ。
私はこの作品を薦めます。
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このファンタジー世界は「魔法」と呼ばれる便利なものがあるので、「医療」というものが古きものとして扱われております。魔法でちょちょいのちょい♪で治療してきたお偉い方から見て、ヒコナ先生が行う「医療」というものは非常に泥臭く、時間のかかる無駄の多い作業と思われるでしょう。
ですが、魔法で心は直せません。傷は治っても痛みを伴います。
ヒコナ先生が行う医療は相手が人間ではない(ほぼ幻獣や異種族)が相手に寄り添い、最善の方法を導き出します。
現代医学にも通じることで、この寄り添いこそが最大の魔法と私は思っております。
ヒコナ先生の寄り添いとできる最大限の医療行為が沢山のひとの笑顔と感謝を表出しております。
なんて真面目に書きましたが、1話ずつ(文章分けてくださっているので2話分)で1話が完結。漫画やアニメのように起承転結がしっかりとくみ上げられているので一話一話がアニメを見ているようで面白い!!
何よりもおすすめなのは、最後に助手のステトくんが語る「観察日記」と「物品補充リスト」
観察日記を拝見すると、ヒコナ先生の医療によって患者がどう変わったのかのその後が語られております。これは本当に病院から退院して自宅退院した患者さんの経過報告書のようでリアリティ満載です。
そして物品補充(笑)ここはマニアな方向けですが、非常に細かい作りで、ここを読むだけでご褒美のようにニヤニヤします。現実にも限りなく近いものだったり、この生物をこうやって使うのか!とか勉強になります。
おまけに登場してくるキャラの個性が強くて一話一話斬新な気持ちで拝読できますし、ストーリー自体はひとつずつ完結しているので、続きが気になって眠れない!!ということもなく実に読者にとって親切な作品です。
魔法を敢えて使わずに、あえてこの泥臭い治療を続けていく。これからもヒコナ先生はたくさんの患者のこころと傷をいやしてくれると思います。
そして、ヒコナ先生のツンデレ具合が最高に可愛いのです。
読めばハマル。非常に読みやすく、アニメが頭にふっと浮かぶ素敵な作品です。
治癒魔法や回復魔法が普及すると、おそらく比例して減衰するだろう技術。
その一つが間違いなく医術。
魔法それ自体が高価であったりしても、技術としては「稼げる部分が持って行かれる」わけで、医術に拘る必要性は低減します。
では、それでも医術を目指す価値はあるのでしょうか。
倫理と価値観。
そのはざまで、主人公は医術の腕を奮います。幻獣相手に。
時にコミカルに、時にはシリアスに。
読後感に残る余韻は、軽いタッチの読み心地の裏に潜む命題。
「それでも」「だからこそ」の意味合いが作品に直結する。
そんな読み応えのある作品です。
幻獣が存在して、魔法もあるファンタジーな世界観。
幻獣達は幻獣という超常の存在である以前に、彼等は生物であるからこそ、医者であるヒナコ先生は魔法を使わずに治療をしていく。
ヒナコ先生の治療シーンはその技量の高さと知識量を読者に見せつつ、先生の生命に対する真摯さを同時に理解させてくれます。そして、助手のステトの心に寄り添う描写もまた治療の一種になるのが素敵でした。
治療はその原因を取り除いて終わりではなく、幻獣達にもまた人生があり、治療を終えた後の日々もあります。
それだけに、治療後の彼等がまたいつも通りに過ごせる様になるまでの丁寧な描写は、ヒナコ先生の真摯さと、同時にこの作品のテーマに対する誠実さも感じさせます。
本格的なファンタジーと本格的な医療ドラマが融合された一作、皆様も是非!
ファンタジー世界で生きるひとりの医師が扱うのは、数多の幻獣。
作者様の頭の中で構築された世界に息づく「命」たち。
その理や身体構造、食べる者や生きる環境は
現実に生きる我々の世界とはかけ離れた
まさに「幻」の中の世界だ。
けれども一度ページを開いてみてほしい。
異世界でも、幻獣でも、そこにあるのは変わらない「命」なのだ。
痛風にもなれば、ストレスで病気にもなる。
それを魔法のある世界だからといって便利に治癒してしまうのは違う。
現在、連載は第3話です。
ここまで読めばまず、
魔法のある世界で主人公・ヒコナ先生が魔法に頼らない意味が分かる。
痛いほど分かる。
「病」や「傷」を癒すこと。
その根本を問うのが、本作なのだと思いました。
幻想的な世界で繰り広げられる「命」の営みとドラマ。
一見冷徹なヒコナ先生の確かな腕と、一生懸命なステト。
普遍的なテーマを抱いた珠玉のストーリーだと感じました。
まだ触れていない方は、ぜひ!