猫騙し。
かつて技のデパートと呼ばれた小兵の力士が変化球として使用していたのを記憶している方も多いかも知れない。
技の一つではあるが、それで相手が倒れる訳でもない。一種の撹乱である。
しかしながら、本作における〝猫騙し〟はどうであろうか。
〝効いて〟いる。しかも、色んな意味で……。
最初は「ふふっ」と思って読んでいるとあっと言う間にパチンと猫騙しを喰らい呆気にとられる事、間違いなしだ。
終始、淡々とした視点も良い。これはある種の記録であり「そんな事知るか」という投げ遣りな態度が物語の不条理な箇所に拍車をかけている。
短編でこの破壊力と衝撃。流石です。