二人分のレモネードが最後まで飲まれない(というと語弊がある)まま残るところが、独特で非常に印象に残りました。
颯太と春香の「約束できても叶えられない関係」に見えて、最後に春香の正体が明かされたあとにいっそう切なくなりました。
颯太が何度も会ってきた「春香」としてちゃんと立ち上がっているので、説明できれいに割り切れないのもすてきです。
まだ咲かない桜や、染井吉野に重ねた見方も苦くて、この作品の主張しない残酷さに合っていました。
読み終えてから、港の場面の優しさがじわじわ痛くなる――そんな一編でした。