兄を亡くしたなつきと、弟を亡くしたはやて。大切な人を失った二人が偶然出会い、互いの悲しみを分かち合いながら、少しずつ距離を縮めていく物語です。
逆上がり、花屋、ぬいぐるみ、雪の夜――何気ない日常の一つ一つが、止まっていたなつきの時間を少しずつ動かしていくのが印象的でした。
「忘れる」のではなく、思い出を抱えたまま前へ進んでいく。そんな優しいテーマの中で、はやてへの気持ちが「憧れ」から少しずつ「恋」へ変わっていく過程も丁寧に描かれています。
悲しみから始まった出会いが、二人にとってどんな未来へ繋がっていくのか。雪と花の香りが似合う、静かで優しい恋物語です。
満月の夜の出会いから始まる、切なくて優しい物語。
喪失感を抱えながら生きる少年となつかしい痛みを胸に秘めた青年。
二人の距離が少しずつ縮まっていく様子がとても丁寧に描かれており、気づけば自然と応援したくなっていました。
特に心理描写が秀逸で、言葉にできない寂しさや孤独、そして誰かに救われたいという想いが真っ直ぐ伝わってきます。
読後に残るのは悲しさだけではありません。
誰かを想うことの温かさや、人と人が出会う奇跡のようなものを感じさせてくれる作品です。
優しい物語が好きな方、心に残る関係性を描いた作品が好きな方にはぜひおすすめしたいです。