固定電話、N501i、川崎球場最後の試合といった2000年の細かなディテールが、当時の空気をリアルに再現していました。就活に行き詰まった主人公の苛立ちと焦りが、ドアの開け閉めや郵便受けの描写といった小さな動作の積み重ねで丁寧に伝わってきます。何気ない友人のメールが、主人公を追い詰める最後の一押しになる構成が痛烈でした。テーマが重い分、読む際には心構えが必要な作品だと思います。2050年の安楽死制度を描く本編へどう繋がっていくのか、設定の射程の広さが気になります。