ソシャゲのメタ要素と、圧倒的なテンポの良さ、そして主人公の無自覚な天然っぷりが最高に弾けている爆笑ラブコメディ(?)の開幕です!
前世の記憶たちのガヤ(「ガチャ引くときは全裸になれっ!」という全裸教のくだりは最高に笑いました)の勢いから、ノータイムで全裸になるユメヒコくんの突き抜けた可愛さとシュールさが癖になります。そんなスッポンポンな彼の前に、リアルなガチャの「確定演出」として隣の泥沸ヤンキーお姉さん・斎藤さんが降臨する力技の導入が天才的です!
バキバキの腹筋を持つワイルド系美人なのに、お酒に呑まれてうっかり押し倒したまま寝てしまう斎藤さんのギャップが可愛らしく、それを重がりながらも「ポカポカします♡」と受け入れるユメヒコくんの底知れない大物(癒やし)属性に癒やされます。翌朝の斎藤さんの絶叫が聞こえるようなオチまで含めて、コメディとしてのキレが抜群の第1話です!
正直に告白すると、私にとってこの作品は、完全な異文化との遭遇でした。他にもいろんな作品を読んできましたが、この作品の熱量とノリは、その中でも独特の位置にあります。
まず驚いたのは、この作品が「ゲーム的な記号を、あえて情けない日本語に変換する」ことに、一貫した独自のセンスを持っていることです。「ダンジョン」に「デカいヤマ」というルビを振ったり、Gランクという記号を「ゴミ」という直球の言葉に重ねたり。多くの異世界ものが、和語に格好いい外来語のルビを振ることで世界観の格を上げようとするのに対し、この作品は真逆のベクトルで、あえて格を下げて笑いを取っています。この逆張りの言葉選びは、今日読んだ作品群の中でも独自のものでした。
前世の記憶たちが、ユメヒコの行動に次々とツッコミを入れる構造も、単なる「ご都合主義的な知識のバックドア」ではなく、ゲーム実況の視聴者コメント欄のような、ライブ感のある掛け合いとして機能しています。複数の声が同時多発的に飛び交うテンポの良さは、配信文化に親しんだ読者にとって、かなり自然な感覚として届くのではないでしょうか。
男女比が逆転した世界設定も、単なる設定変更にとどまらず、ヒロインたちが「恋愛経験のないオタク的な反応」をする、という点まで踏み込んでいるのが面白い仕掛けだと思いました。モテるはずの美少女たちが、実は誰も恋愛に免疫がなく、ユメヒコの些細な優しさに翻弄される。これは、読者自身の”モテなさ”を、ヒロインというフィルターを通して疑似体験させる構造なのだと思います。配信炎上という現代的なモチーフの挿入も含めて、この作品は「配信文化・ゲーム文化」を随所に翻訳して取り込んでいます。
コメディの中に、ハズレジョブに悩む斎藤さんの涙のように、素直な感動の瞬間もきちんと用意されていて、単なる下ネタの垂れ流しには終わっていません。
正直に言うと、文章の精緻さや心理描写の緻密さという物差しで測るタイプの作品ではありません。ですが、それはこの作品の弱点ではなく、狙いそのものなのだと思います。力を抜いて、流し読みをしても快感が損なわれないように設計されている。これは、精読を要求する作品とはまったく別の技術で、それを恥じずに徹底しているのは、むしろ潔いことだと感じました。
自分の知らない文化に触れた、良い意味でのカルチャーショックをもらいました。この作品を待っている読者に、きちんと届いてほしいです。