冒頭の何気ない合コン風景から、一気に非日常へと切り替わる展開が鮮やかです。
それまで和やかに言葉を交わしていた男達が、マサさんの指示で『電気工事士』となり、スイッチが入ったように事態を収束させていく様は、読んでいて実に小気味が良いです。
明らかに異常な状況に在りながら、彼らが維持する『完璧な日常』の景色も歪で、この先に待ち受ける不穏を匂わせているように感じました。
メインキャラである三人の、一切無駄のない動き。司令塔であるマサさんを軸に、多くを説明しなくとも、適切に作業が完了させていくトミーさんと直也さん。という構図に、長く現場を共にしてきたであろう強い関係性が伺えます。平穏だった頃の日常も見てみたかったなと思うほど魅力的でした。
私は電気工事士の世界とは無縁の人間です。作中飛び交う専門用語もほとんどわからなかったくらいなのですが、それでも夢中になって最後まで読みきることができました。
作者様が用語解説もしてくださっているので(ありがとうございます!)、そちらも併せて読まれるのも理解が深まると思います。