最初は、亡くなった愛猫が人間の姿になって帰ってくる、少し不思議で優しい物語だと思っていました。
でも読み進めていくうちに「あれ?」という小さな違和感が生まれて、その違和感が最後の最後で一気に恐怖へ変わります。
この作品で特に好きなのは、最初から分かりやすい狂気があるわけではないところ。
大切だから失いたくない。
失いたくないから健康でいてほしい。
今度こそ幸せにしてあげたい。
どれも本来なら「愛情」と呼べる感情なのに、それが少しずつ形を変えていく。
そして終盤のある一言で、それまで自分が信じて読んでいた物語そのものがひっくり返ります。そこで終わらず、最後の最後までさらに一段怖くしてくるのが本当に好きでした。
誰かを愛することと、その人の幸せを自分が決めてしまうことは、きっと全然違う。
読み終わったあと冒頭に戻ると、最初は可愛くて愛おしかった鈴の音や首輪、一緒に眠る時間まで少し違って見えてきます。
優しい物語だと思って安心して読んでほしい。
そして、そのまま最後まで騙されてほしい作品です。