本作は、いじめによって心を凍らせた主人公・貴真心(きまこ)が、不器用ながらも実直な3人の少年たちに救い出されるところから動き出します。
最も印象的なのは、単なる「救済」で終わらない点です。救われた貴真心が、今度は自らの得意とする「知識」や「学ぶ喜び」を武器に、勉強に悩む恩人たちを助けようと模索する姿には、名前の通り「貴い真心」が溢れており、読者の心を温かく震わせます。
また、閉鎖的な教室の恐怖を、図書館で見つけた「ヨーロッパの美しい景色」や「歴史」への想像力で乗り越えていく描写が秀逸です。絶望の淵にいるからこそ、ページをめくる音が自由への足音に聞こえる――そんな読書本来の持つ力を再認識させてくれます。
「自分らしくいること」の大切さと、誰かを想う気持ちが人をどれほど強くさせるのか。読み終えた後、きっとあなたも大切な誰かに「ありがとう」を伝えたくなるはずです。