漁師とおかみ~物語になりそこねた話~

山下ともこ

第一章:話のはじまり

昔といっても、ほんのちょっと昔。

海の近くのあばら家に、漁師とおかみさんが暮らしていました。


漁師は毎日漁に出かけ、釣って、釣って、ひたすら釣りました。


ある日、竿を垂らすと、糸がグイッと下がりました。

引き上げてみると大きなヒラメが掛かっていました。


するとヒラメが

「聞いて下さい。漁師さん、お願いです。

 命は助けて下さい。私は…」

と話し始めたではありませんか!


「なんと!ヒラメなのに話せるのか!?いやぁ~これは凄い!」

と漁師は驚きのあまり、ヒラメの話を遮り、声をあげました。


「えっと・・・いや・・・あの、ですから・・・」

と、ヒラメは話を続けようとしますが、漁師は

「うんうん、大丈夫、大丈夫。絶対に殺しはしない。

 その代わり一緒に来てくれ!」

「いやいや!貴方は私の命を助け、おかみさんの願い事を言いに来る…

 と言う手筈になっているはずで…

「ん?なんだ?それは?ともかく!ヒラメ君!

 これからは君で大儲けをさせてもらうぞー!」


こうしてヒラメは漁師に連れられ、漁師の家に行く事になりました。



つづく~第二章へ~



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