終活の話をしているはずなのに、
最後は
「久しぶりに――に乗せて下さいよ」
「人生はこれからだ」
と、きちんと未来へ向かって終わるところが若い読者や我々中年読者にも刺さる流れとなっているのが印象的でした。
回想に浸るだけの話ではなく、思い出を抱えたまま今を生きて、これからもまだ楽しもうとする夫婦の姿がとてもいじらしいです。
アルバムの中の若い頃の真美子さんもすてきですが、
それ以上に「今のお前が一番かわいいんじゃないか」と言い合える今の二人の空気が好みです。
長く連れ添ったからこそのやわらかい会話や、少し笑ってしまう終活の進まなさも含めて、この夫婦の関係が自然に伝わってきました。
満開の桜や縁側の光、カワサキW650の存在まで含めて、春の昼下がりのぬくもりがそのまま残る作品でした。
しみじみするのに、最後はちゃんと前向きで、あたたかい読後感にほっこりできました。