絶海の孤島で起きた殺人事件に居合わせた、とある探偵と助手。彼らは現場を確認し、事件の真相を見抜くと、なんとその場で証拠を隠滅し、犯人のもとを訪れて、助手の男がこのような提案を持ちかける。
「提案です。この場は私の上司がやったことにします。だから、僕の助手になりませんか?」
なんと本作は探偵も助手も元殺人犯! 彼らは自身の殺人で裁かれるのを拒み、代わりに探偵として殺人事件を解決したのち、その事件の犯人として裁かれる、という奇妙なルールに則って活動するのだ。
ある話で殺人犯として探偵に追い詰められた人物が、次の話では探偵の助手として事件を見守る視点人物となり、さらに次の話では探偵として真相を暴いた後罪を被り、真犯人を新たな助手に任命する。この探偵と殺人犯が数珠繋ぎになるという設定の時点で充分魅力的だが、物語の中盤で読者視点で八代目にあたる探偵の元に、このループ構造を壊しかねない、ある依頼が持ち込まれる。
この依頼を解決するため、当代の探偵と助手は歴代の探偵たちを遡って話を聞いていくのだが、そこで浮かび上がるそれぞれの意外な人間像や関係性がまた面白い。探偵=助手=殺人犯なのだから、どの探偵も一言では言い表せない奇妙な魅力を備えているのだ。
こうして殺人と解決の連鎖に囚われた彼らがどのような答えを得るのか。その結末は是非自身の目で確認してほしい。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)
ノックス十戒を「黴や手垢にまみれた廃れた石板」と切り捨て、そこに潜む「不完全さ」を真正面から突くこの作品、最高に面白かったです。
表向きは本格ミステリーの体裁を取りながら、実は探偵(と助手)が過去に◯◯を××した者たち(ネタバレになるので自主規制)であるという倒錯した設定。事件を解決するたびに「次の探偵」を生み出していくリレー構造が秀逸で、読むたびに背筋がぞわっとします。
各話のトリックはしっかり本格的(密室や偽装工作など)なのに、物語全体のテーマはミステリーの倫理そのものを問いかけるメタ的な深みがあります。残酷描写・暴力描写・性描写ありのタグ通りダークな要素はしっかりありますが、ただグロいだけでなく、冷めた視点と少しのユーモアが混ざっているバランスが絶妙です。
このレビューを書いた時点で5話とまだまだ序盤ですが、この「葬列」がこれからどうなっていくのか、楽しみです。
本当におすすめの作品です!