努力が報われない現実を憂う蓮が、偶然居合わせた命懸けの踏切事故をきっかけに、非日常の戦いへと引きずり込まれていく構成が見事です。
冒頭のファンタジックな独白から、リアルな現代の札幌、そしてラストの謎のワード『クイーンズ・クレスト』へと繋がる、日常が侵食されていくスピード感に一気に引き込まれました。
特に良いのが蓮の「燻るヒーロー素質」。
中学時代のハンドボールでの挫折や、優秀な昴との比較による自己嫌悪から「全力を出すこと」をやめてしまった蓮。
しかし、他人のために線路に飛び込んだ少年を見捨てられず、自らも危険を顧みず身体を動かせるという、内に秘めた圧倒的な「最強の器」が初手から説得力を持って描かれています。