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 それからは大学の授業中や日常生活でも、いつYさんと会おうかということばかり考えていた。もっと正確に言うと何曜日の何時に会うかをある程度決めておいて、それに合わせて他のスケジュールを組むつもりである。ホテルの空き状況や料金が安くなることを考えると、この前のような平日の昼間が最も望ましい。週に一度だけ対面の授業で大学に行くことがあるのだが、巣鴨駅は大学のある場所とは真逆にあるので、定期券で交通費を節約できないことを含めてわざわざ授業終わりに行くメリットは薄い。そうなると必然的に授業が完全にない日が選択肢に上がり、自然と初めてYさんと会ったときの曜日と時間がベストだという答えに行き着いた。

 ということでYさんと初めて会ってから一週間後、その一週間後に会えないかとメールを送った。正確に言うと、Yさんと初めて会ってからちょうど二週間後の同じ時間を指定して、会えないかというメールを送った。

 メールを送ってから三十分足らずで「こんにちは! 大丈夫だと思います!」と返事が来たときは、午前中の自宅のリビングで一人、まあまあ大きめな拳を作って天井に掲げた。「持つべきものは友達(フレンド)だな」、そう呟いてそれに対する返信の文面を考えた。余計な感情は書かず、自然体を意識して「ありがとうございます! 場所は前と同じ巣鴨でよろしいでしょうか?」と、シンプルだがしっかり相手に寄せる提案をして約束を確実のものにする目的のメールを送った。

 その後大学の課題をするためにスマートフォンの操作を我慢して、それから昼食を済ませて軽い昼寝から目を覚ましてから、待ちに待ったスマートフォンのチェックを行なった。二時間近くもの間、僕はスマートフォンを見るのを我慢した。一度それぐらい極端にやらないと四六時中Yさんのことばかり考えてしまうのを抑えるためでもあったが、約束自体は既におおよそ取り付けていたので、我慢する心の余裕があったのも事実だ。

 セフレと次に会う約束をする、これがどんなに気分の良いものか、言葉で表現するのは難しい。この日この時間にセックスをする予定を立てる、これがどんなに僕の心を豊かにさせたか──、その日をずっと待ちびていた僕にとって、それは、幸せの一言以外では言い表せなかった。

 スマートフォンのロック画面を開くと、ユマ・サーマンの胸の上辺りにメールの通知のバナーが表示されていた。ロック画面上なので内容は見られなかったが、相手の名前にはYさんの名前がはっきりと表示されていた。そうやって連絡を取り合っていることで、Yさんと僕は一回限りのお金で繋がった関係などではなく、これから何度も何度も身体を突き合わせる特別な相手なのだと改めて実感した。


「また巣鴨でお願いします!

 先程診断結果が出たんですけどちょっと治療しないといけないみたいでもう少しお金がかかりそうなんですけど大丈夫ですかね?」


 ロックを解いて開いたメールには、そう書かれていた。

 一度深呼吸をした。まあ確かに、そういうこともあるのかもしれない。正直言って僕はセックスそのものの行為や体位などについてはアダルトビデオの知識である程度知っているが、女性の体についての知識はゼロに等しい。Yさんが治療だとか避妊のためのピルが必要でこれくらいお金がかかると言われれば、性病や生理についての知識のない僕はYさんの要望に従うしかない。それほどセックスにおける男女の間にはリスクの差があると言われたら何も言い返せないし、実際僕のような何の知識もなくただ性欲を満たしたいがためにセックスをするような人間が女性を傷つけてきたのだろうし、Yさんも以前そういうことがあったから、慎重に検査や避妊具で自分の身を守っているのだろう。

 だがしかし、これでまた二十万や三十万円を請求されたとなると話は変わってくる。確かに治療となるとまあまあなまとまった金額が必要になるのかもしれないけれど、それでも既に支払った五十万円は、あまりにも大きすぎる。しかもYさんは五十万円の約束をした後、もうこれ以上はかからないと宣言していた。もちろん今回は診断の結果イレギュラーな形で発生したものなので先の言葉とは矛盾しないのかもしれないけれど、しかしYさんは交通費と道具代を会う前のやり取りの段階では言わず、当日その場で請求してきた経緯がある。

 なのでいずれにせよ、このメールの段階で色々確認しておかなければならない。二年間の全てとも言える必死に貯めたバイト代は、もうはっきりとYさんの爪痕が刻まれているのだから。


「ちなみにいくらぐらいになりますかね?」

「5万あれば足りると思います。」

「かしこまりました。

 一応確認なのですが、今後もこのような形で金銭が発生する可能性はございますかね?」

「今後はないですね!

 治療が終わったらお互いホテル代交互に出し合って会って行ければと思ってます!

 十二月とかは私長期休みとる予定なのでカイトさんがよければ一緒に旅行とか行きますか?」


 二十分足らずの間になされたメールのやり取りを何度も見返す。

 5万、これは非常に微妙な金額だ。五十万を払った後なので最初に額を見たときは思ったより安いと感じてしまったが、冷静に考えればこれは普通に高い金額に違いない。大学生からしたら一ヵ月のアルバイト代にも優に匹敵する。

 しかし実際、五十万の後の五万なのも間違いない。実際、その金額を払えるだけのお金を持ってはいる。そして何より、改めてYさんはこの五万が最後であり、これ以降はお互いにホテル代を出し合って会う平等なセフレの関係になるとはっきり文字にした。すなわち残り五万円さえ払えば、僕は念願のセックスフレンドを手に入れられるのだ。

 僕は悩んだ。悩んで悩んで、もう一度自分に問いかけた。

 はっきり言って五十万円を払ったのは馬鹿な行ないだと頭ではわかっている。先に風俗との比較を挙げたが、逆に言えばその五十万円があれば二十回は風俗に通えるのだ。セフレだと好きなときにセックスができると言ったが、先週のように相手側の都合が悪いと断られる場合も避けられない。しかも月二、三回という制約を設けられているため、それ以上したくなってもできないし、逆に日常生活が忙しくなって時間が確保できない場合だと、会えないまま月日が経過して時間を無駄にすることも起こり得る。場所も巣鴨という家から近いわけでも通学路の途中にあるわけでもない、言ってしまえば不便な場所を指定されているため具合が悪い。調べたら最寄り駅にも通学路の途中にもそういうお店はあるらしい。

 つまりお店とYさんとの関係を比較したとき、はっきり言って、お店を利用し続けた方が割がいいのだ。五十万円を先払いして、いついなくなるかもわからない素性の知れない女性と不純な関係を結ぶよりも、学校帰りやふとした空いた時間など自分の行きたいときに行けて、手取り足取りなんて甘い言葉は忘れて五分足らずで全てを済ませた誰かさんよりもサービスの良い女性に相手してもらえるかもしれない方が、どう考えたってより良い選択肢ではないか。

 しかし、今やそれは失われた選択肢である。なぜなら僕はもう、Yさんに五十万円を支払う選択肢を選んだのだから。

 だからこそ、今の僕には別の選択肢がある。それはもう五万円を追加して支払ってお願いするようにYさんと関係を続けていくよりも、その五万円をそれこそ風俗に回すなど別で使って、Yさんのことはスパッと諦めた方がいいのではないか──。


「かしこまりました! 金銭の方は準備致します。

 それでは来週よろしくお願いします!」


 しかし、そうすることはできなかった。

 理由はたった一つ。既に失った五十万円が、名残惜しすぎるのだ。ここで五万円をYさんに支払いさえすれば、あの五十万円は無駄にはならない。しかしここで五万円を惜しんでYさんとの関係を終わらせてしまえば、ただただ一回のセックスのために五十万円をYさんに支払ったというだけになる。つまり既に五十万を支払った事実が、何をするにも重くのしかかってくる。五万円を失うのは痛いが、間接的に五十万円をドブに捨てるのはもっと痛い。

 そうやって悩みに悩み抜いた結果、またしてもYさんの言うことに従うこととなった。いや、先ほどからYさんを悪者のようにばかり言っているが、もしかしたら本当に治療が必要なのかもしれないし、本当に避妊や検査のために五十万円が必要だったのかもしれない。僕は女性のためのちゃんとした知識をおろそかにしてここまで生きてきたのだから、高い金額というだけでむやみに噓だと決めつけてはいけない。

 それだけの快感という恩恵を僕はこれから、Yさんとの交わりの中で手にしていくのだから。


 前回は駅を出た先の公衆電話の近くで待ち合わせたが、今回は一度顔を合わせていることもあってか、改札を出てすぐのコンビニの前で待ち合わせることになった。駅に着いたとメールを送ると、前回と同じくYさんは既に着いていてどこか近くの場所で休んでいるらしく、すぐにこちらに向かうとのことだった。その際前回と同じく、僕の服装と持ち物を教えてほしいとのことだった。もう顔は知っているはずなのに随分入念なんだなと思いつつ、今日着ている服と持ってきているバッグをメールで送ると、「わかりました! 急ぎますね!」と返信が来てから五分後にYさんは姿を現した。

「カイトくん~」

 僕を見つけるとそう言いながらYさんは近付いてきて、今日の気温だとか服装のことに少し触れた後、前回と同じく南口を抜けて目的地の方に歩き出した。一度しか行ってないのでホテルへの道順はあやふやだったが、前回と同じくYさんが先頭を切っているので特に何も考えることもなくYさんの後ろをついていった。ホテルに着くと前回よりも少し堂々と入り口から中に入り、Yさんがモニターから部屋を選んでいる間に財布を手元に持ってきて、フロントに着く頃には財布を開きいつでもお札が出せる状態にした。前回よりも千円高かった料金を支払い、鍵を受け取ってエレベーターに乗って部屋へ向かった。部屋は前回と違って四階だった。

「ふう、涼しい~」

 空調が効いた部屋に入ると、Yさんは棚に荷物を置いて前回と同じく道具類をバッグから取り出した。前回と同じ動作を見て思わず興奮している内心を抑えつつ、たぶんこれからスマートフォンを回収されるから準備しておこうと考えつつ、とりあえず自分も二回目だから少し慣れた姿勢を見せるために、目の前にあった小さなテーブルに自分の荷物を置いた。

「じゃあ、約束してたお金、ええかな?」

 若干関西弁の入ったイントネーションで、Yさんはそう言った。僕はバッグから一万円札が五枚入った封筒を手渡すと、Yさんは一枚一枚封筒の中のお札を確認してから、前回と同じポーチに封筒を入れた。

「じゃあ、これでオッケーだね~」

 治療とは縁のないような明るいトーンでそう言うと、Yさんはスマートフォンを軽く操作して、僕に向き直った。

「それでね、ちょっと話があるんやけど、」

 「え?」と心の中で反射的に出た疑問の声を上げながら、Yさんの話に耳を貸した。

「治療はこれで完璧なんだけど、やっぱりもう少し安心したい気持ちがあって、だからワクチンも打ちたいんだ」

 「はあ」と弱々しい主人公のお手本のような受け答えの声を実際に上げながら、恐る恐るYさんの話に耳を貸した。

「そのお金って、どうかな? 出せそう?」

「治療とは別にですか?」

「そう、治療とは別に」

 それからYさんは、そのワクチンがどういうものなのかを説明してくれた。何のために打つのか、それがどういう作用をして体のためになるのか、そもそも五万円の治療がどういうものだったのか、Yさんはまるで準備してきたセリフのようにスラスラと専門用語を所々に並べながら、ワクチンを打つことの意味を僕に説明してくれた。

 本当は耳を傾けてちゃんと聞くべきだった。その説明の裏にどんな意図があったとしても、説明自体には聞いておくべき価値があったはずだった。

「それで、金額は……?」

 しかし僕の頭の中は、あといくら払えば正式なセフレになれるのかの勘定でいっぱいだった。

「もちろん私も出すから全額じゃないんだけど、十万あれば足りると思う」

 一つ、緊張の糸が切れた。五万円を絞り出してからのその倍額は、さすがに抵抗が芽生える。

 だが僕の念願は、まだ欲望を保つ余力があった。

「……十万ですか。うーん、……ちょっと高いですね」

「だよねー、私も思った。でも保険利かないから仕方ないんよねー。でもたぶんこれで最後だと思うから──」

 もう一つ、本能の糸が切れた。

 この人は前に全く同じセリフを言っておいて、それからまた倍の金額を要求してくるのか。

「でも前に、もうこれ以上はかからないって言ってませんでした……?」

 遠回しに、そのことを問い詰めた。

 僕がなぜ「これで最後」という言葉にこんなにこだわるか。それは、その言葉を一度本気で信じ込んだから以外の何物でもない。

「え? 私、そんなこと言った?」

 そのとき、僕を保っていた糸は完全に途切れた。そして、改めて、改めて今起きているこの状況を理解した。

 僕は業者の女に引っかかった。業者の女にいいように利用されて、洒落になれない金額を失った。

 しかしそれを受け入れたときにはもう、この女は自らの役割を果たし終えた後だった。


 今までは全てYさんの言うことに従ってきたが、ワクチンの話をされて以降、初めて僕はYさんの言うことに抵抗を示すようになった。心の内では決心を固めていたはずなのに、口から出るのは「十万円はちょっときつい」だとか「それをしないと本当にダメなのか?」のような、交渉次第ではまだ関係を続けられるといった弱々しい姿勢に終始していた。その魂胆を見抜いたのか、Yさんは再びワクチンの効果を説明して「十万円はこの関係を続けるのに必要なもの」というニュアンスを強調した。

 しかし、さすがにこれ以上お金を払ってYさんと関係を続ける気はなかった。一瞬揺れる気持ちもあったが、これでまたお金を支払ったらそれ以降もなにか別の理由をつけて金銭を要求されるのは、完全に騙された分際で言うのもなんだが僕でもわかった。今回が本当に最後だと言っておきながらまた金銭を要求して、挙句の果てにすっとぼける手を使うような女だ。関係を続けたら絶対にまたいつかお金をせびってくるに違いない。これはもはや性欲とか本能の問題ではない。僕自身にも多少は存在するプライドの問題である。これ以上コケにされるのをわかっていながらYさんと関係を続けていたら、そのうち僕は、セックス自体を憎むようになるかもしれない。

「でもさ、私思うんだけどさ、」

 渋っている僕を見かねたYさんは、声のトーンを下げて僕に向き直った。

「カイトくんはもう、私のために結構なお金を使ってくれたわけやんか」

 だが、目線だけは外していた。まるで正面から本気で言っているのではなく吐き捨てるように言って、後はYさんの意思ではなく僕の判断に委ねるようにして、その言葉を放った。

「だからさ、ここで関係が終わっちゃったらさ、私が言うのもなんだけど、もったいなくない?」

 改めて僕は、この女の業者っぷりを恐れ入った。

 この女は僕と同様、今や僕の性欲は当てにしていない。最後に残った僕の懸念要素として、既に失った五十万円の意味という損得勘定をよく理解している。そうだ、Yさんの言う通り、このまま僕が十万円を払わずに関係を終わらせたら、先日支払った五十万円と今日支払った五万円は、一体何のためだったということになる。

「今日は、してくれないんですか……?」

「うーん、十万がないならちょっと厳しいかな~」

 だからこそ少しでも目的を果たそうと折を見て踏み込んでみたが、あっさりかわされてそれ以降はきっかけを掴めていない。つまりセックス自体はした先日の五十万円はまだしも、今日渡した五万円は残りの十万円を払わなければ完全に無駄銭になるのだ。そういうところの損得を、Yさんは男の性欲と同程度以上に熟知しているプロの業者女なのだ。

 だがどちらにせよ、前回の反省を踏まえて今日はキャッシュカードを持ってきていなかったので、今日中に十万円を支払うことは不可能だった。そのことを告げて次回会うときに支払うといった、この期に及んでその場しのぎで乗り切ろうとする何とも弱々しい姿勢の回答をしたおかげで、表面上ではYさんとの関係は穏便に続いた。しかしYさんからしたら、僕が次回に十万を支払うかどうかを考える時間を作ってそのような関係を続けることは好都合だった。次回十万円を受け取れるなら目的は果たせるし、十万円を支払わずにこのまま僕からの連絡が途絶えるならそれでもいい。Yさんからしたらもう充分な金額は受け取ったのだし、だからこそ今回は前回の倍額という強気の料金設定だったのだから。

 ということで、十万円のくだりが済んだ後は前回同様世間話が僕らの間に流れた。最近観た映画の話やおすすめのアニメや漫画など前回の続きのような話から始まり、それからYさんが二日前に目黒で人気アイドルグループのメンバーが犬を連れて散歩していたというエピソードトークを持ってきて、その話が繋がってなんだかんだ三十分くらいは話していた。

 ただ僕も別に女性と話がしたいわけではなくセックスがしたいだけなので、その会話の時間は苦痛だった。こんな何の利にもならない話で前回同様部屋の延長料金で追加の千円をフロントに支払う必要があると思うと、苦痛以外の何物でもなかった。途中からはYさんの話に受け答えをするフリをしながら、今日もしこうなることが事前にわかっていたらどういう対処を取っていたか、なんていう意味もない想像を膨らませていた。五万円を渡さないで損失を最小限に抑えるのも一つの手だが、キャッシュカードを持ってきていると噓をついてセックスだけ済ませて、帰りは逃げるようにして帰ればよかったという考えも頭に浮かんだ。でもそれだとYさんのバックにいる業者の勢力から目を付けられそうだし、セックス自体はしているわけだから性行為を強要されただとか言われて警察沙汰にされて復讐される場合も頭に浮かんで、何より僕自身がそのような行動を取れるような勇気がないことを、今この状況をなあなあで過ごしている現実から改めて自覚した。

「次からはホテル終わった後にご飯とか行こうね!」

 どうせその会計もこっちに持たせるくせに、と思いながら身支度を済ませて部屋を出て、案の定フロントに鍵を返す際延長料金の千円が発生していて、財布を出す様子もなくスマートフォンを操作しているYさんを見かねて僕が千円を払うと、おそらく横目ではフロントとのやり取りを見ていたYさんは、支払いが終わると同時に率先的に外に出た。

 外に出て前回と同じ駅のロータリーでYさんと別れると、どっと疲れが湧いてきた。業者女に引っかかったという実感もそうだが、一番はあの世間話の時間が精神的にこたえた。Yさん的には客に対するサービスの一環なのかもしれないが、それを事後にやられるほど(今日に関しては事後ですらない)こちらからしたら辛い時間はない。全く面白くもない話に対してリアクションして、あろうことかこちらもエピソードトークなんかを求められたらもう目も当てられない。

 ただただ疲れた。本当に疲れた。改めてこの二週間は何だったのだろうか。初めてのセックスという経験と引き換えに、僕は一体何を失ったのだろうか。帰りの山手線に揺られながら少しの間考えていると、真っ先に一つの答えに至った。

 そうして、僕は深く思い知った。

 たった一人のくだらない女のために、とんでもない無駄遣いをしてしまったことを。

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