副会長が私のかすかな期待を打ち砕く
翌日の放課後。
期待と、ほんの少しの罪悪感を――。
私の悲しいほどにフラットな胸に抱えて、生徒会室のドアを開ける。
するとそこには、すでに副会長がいた。
「あ、くるみちゃん。お、おはよう……じゃなくて、こんにちは……」
「……」
彼女は、ノートPCに向かったまま口を開かず、顔を上げようともしない。
ただ、自分の机の上に目をやった瞬間、私は思わず声を失った。
「ねえ、くるみちゃん。なんか、昨日よりもさらに……書類、多くない?」
「……気のせいです」
ウソだ……明らかに増えてる……。
積み上がった紙の束は、まるで私を物理的にイジメる「罰」のようだ。
「昨日、自分が何をしたか……分かってますよね?」
いつもと同じような、冷ややかな彼女のクリスタルボイス。
でもどこか……わずかに声が高いような気もする。
ノートPCの画面越しに、昨日よりもするどい、彼女のジト目が私を射抜く。
「え、ええと……私、何かしたっけ……?」
「とぼけても無駄です。数々のセクハラ発言に、セクハラ行為。……訴えますよ?」
訴える、なんて物騒な言葉を使いながら、彼女は眼鏡をクイッと押し上げた。
その指先が、昨日私が触れた場所を意識しているようで、胸の奥がキュンと鳴る。
「はい。ちゃんと、覚えてます。……ごめん、くるみちゃん」
「……あの、分かっているなら、さっさと座って片付けてください。今すぐっ!」
ぴしゃりと言い放たれ、私はすごすごと自分の席についた。
ペンをにぎり、積み上げられたいまいましい書類と格闘し始める。
……けれど、一度火がついた私の
「あの、あのさあ……くるみちゃん。今日は……その、『ごほうび』は……」
「今……何か、言いましたか?」
キーボードを叩く
その勢いは、私のかすかな期待を簡単に打ち砕く。
「な、なんでもないです! 全力で……がんばりますっ!!」
私はあわてて、書類に顔を伏せた。
……これは、とても厳しい。
今日のくるみちゃんは、昨日よりもずっと鉄壁だ。
だけど、必死にペンを動かす私は、彼女にそっと視線を移す。
彼女は組んだ腕で、自分の豊な胸をギュッと守るように抱え込み――。
小さく、本当に小さく、「何か」に備えるかのように、ぶるっと身震いしていた。
(……よ、よしっ! その様子なら、うまくいけば「もう一度」があるかも……?)
だから今日も……爆速で、終わらせてやるんだと、私は決意を新たにする。
生徒会室に、昨日以上の猛スピードでペンを走らせる音が、響き渡った。
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