大学でフルートを吹く律と、高校でコントラバスを弾く悠。離れていても、電話の声や相手の演奏が力になる。そんな遠距離恋愛の温かさだけでなく、離れたからこそ生まれる迷いや苦しさまで丁寧に描かれていました。特に印象的なのは、音楽が単なる舞台ではなく、二人の気持ちそのものになっているところです。うまく言葉にできなくても、相手の音を聴けば、どんな時間を過ごしてきたのかが伝わってくる。それぞれが自分の音を探しながら成長していく、音楽と恋がきれいに重なった青春恋愛でした。
この物語がいいのは、「支える人」と「支えられる人」――そんな一方通行だった関係が、少しずつ、互いに響き合う関係へと変わっていくところ。離れている時間は、優しいだけじゃない。でも、それぞれが一人で立てるようになったとき、二人の音は、上でも下でもなく、ちゃんと“隣”で重なる。音楽って、支え合うより、響き合うものなんだ――。三部作をかけて育った“音”の意味が、ここで実を結びます。
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