「衣食足りて礼節を知る」という統治の根源を鮮烈に描いた一作。勇者が与えるのは救済ではなく、自律のための「余裕」だ。飢餓から解放された民衆が自ら歩み出す姿には、人間の尊厳が宿っている。ただし、現実社会では最初の「飢えを消し去る」工程こそが極めて困難であり、それさえあれば……という痛烈な皮肉すら感じる。