「触れれば人の命を奪う」と教えられ、石の塔で孤独に生きてきたセラフィナ姫。そんな彼女の前に現れたのは、冷静で合理的、そして朴訥な男・レオニスでした。
本作の魅力は、何と言っても物語を包む静謐な空気感と、二人の距離が少しずつ、遠慮がちに縮まっていく丁寧な心理描写にあります。
レオニスの探究によって姫の秘密が少しずつ紐解かれていくミステリ的な面白さもあり、じわじわと物語に引き込まれました。
作中、ずっと「触れ合えない」という切ない制約が描かれ続けるからこそ、終盤に訪れる「ある瞬間」の美しさと迫力は圧倒的です。「このシーンのために、今まで物語を追ってきたのだ」と、胸が震えるほどのカタルシスを味わえます。