灼けつく土地。
熱気を帯びた空気が辺りを押し包むなか、幻のように佇むホテルがあった。
いまそこへ、ひとりの男がチェックインする。
彼は大きな悲しみを抱えていた。
厭わしい現実から逃れて、ここへ辿り着いたのだ。
〝救いに似たなにか〟
〝後悔を埋め合わせるなにか〟
そんな微かな希望を求めて男が行き着いた場所。
ここは〝ホテル・カリフォルニア〟
ありえないことを願ってしまう心が流れ着く終着点。
幻想に囚われた者が沈んでいく、陥穽の底である。
この物語は夢を描いているのかもしれない。
それとも、幻覚の表現かもしれない。
読む者は、物語の見方を自ら決めなければならない。
もしも本作が幻覚の物語だとしたなら、彼はいつから現実を手放してしまったのか。
作中に明確な答えはない。
すべてが曖昧で、すべてが疑わしい。
奇妙な出来事の起きる理由も定かではない。
美しい表現の奇妙な物語は、読み手の定見さえ奪っていくのだ。
物語の結末もまた作中では明示されない。
だからこそ、言葉の断片を拾い集めて意味を編むのは読む者自身となる。
物語の解釈はあなた自身が探してほしい。
まるで宝探しのように見つけたこと。
それがあなただけの結末となるはずだから。
ここにあるのはそんな幻想と怪奇にみちた美しい物語。
心を騒がせる怪異譚である。
この作品は、アメリカのロックバンド・イーグルスが発表した『ホテルカリフォルニア』にインスパイアされた作品です。
凄いんですよ、この曲。敢えてURLを掲載はしませんが、是非多くの方に聴いていただきたい……。
そして本作。文章のみ、音楽性廃止! ……かと思ったら、予想以上に耳鳴り(?)がするんですよね。この曲を聴いたり、今作を拝読したりしている間に、現実と虚構が引っ繰り返りそうになります。
誉め言葉として言わせていただければ、『ホテルカリフォルニアのメディアを切り替え、文章にして二次創作してみた』というところでしょうか。
カラオケに行きたいなぁ……(´・ω・`)