いやあ、良いですね。良いです、このふたり。
続きがあればおそらく、ドタバタコメディな明治ロマンスになったのでしょう。ですが本作はロマンスではなく、その手前の、出会いの部分のお話。
本作の主人公は没落士族の苦学生 兼 新人作家のさくらさん。冷ための美人というオマケ付きのだいぶ盛り盛りな女性ですが、とっても素敵な女性です。
そんなさくらさんの元に現れたのが、さくらさんのファンだと名乗る財閥御曹司のかなたさん。このかなたさんは、とにかくグイグイ来るオタクで、見ていて心地よいのです。大好きです。好きを突き進む人。
話が進むにつれ、読み手はとくにさくらさん側の事情を知っていくことになり、その事情に切なさを覚えるわけですが……時おり描写される色がイイ。明治らしさを感じる色がイイ。そしてやはり、ふたりの掛け合いがイイ。片や小説家、片や文学オタクなのですから、武器は言葉。ラストの「斬込み」はその武器がよく発揮されていて、文面的には綺麗、気分的には爽やかです。
これは続きもあったらぜひ読んでみたい。そんな気持ちにさせてくれる、とにかくふたりの掛け合いが良い作品。
お勧めです。