登場人物の感情を説明に頼らず、場面や行動から自然に伝わってくるのが素晴らしい。
妊婦さんへの対応から百合花の涙、そしてドライブでの告白へと、エピソードが伏線のように積み重なり、読者が二人の関係に自然と引き込まれていく構成の巧みさが光る。
夜道の運転シーンでは、後続トラックへの対応やハザードランプの描写など細部のリアリティが、二人の距離を縮めるドラマに説得力を与えている。
昭和という時代設定もノスタルジーとして機能しており、カーナビもスマホもない不便さが、逆に二人の会話の濃密さを際立たせている。