幼馴染でオス同士のたぬき、たぬたぬとたぬぅ。
食べ物が少ない山での暮らしに限界を感じたふたり(二匹)は、人間との兼業たぬきになって、なれない人間の街で“るーむしぇあ”をしながら社会人として日々を一生懸命に過ごします。時には人の姿で、時にはたぬきの姿で。
ところで、
“腐”のつく人種の大半は、男同士のえっちとかわいいものに目がないはずです。BL漫画なんかでも、たいていデフォルメしたもちもちかわいいミニキャラが、時おりコマのはしに映り込んで読者の心を掴みます。えっちの前にかわいいは必須。
つまりこちらの作品は、そういう“えっちの前のかわいい”を飽和状態にした、キュートでファンシーないちゃらぶBLであると思います(たまりません)。
それどころか、「けものであればどれだけいちゃつかせても全年齢版でいける」と、カクヨムのグレーゾーンをついて、“毛づくろい”と称した身体接触が合法的に書かれます。
しかしただのたぬきです。耳が勃つだけです。
そしてこちらの作品では、“かわいい”の造形はほとんど書かれません。どれだけ目が大きいのだとか、どんなふうに毛並みが美しいのだとか、どんな汗のにおいがたまらんのだとか。それでもたまらなくかわいく愛らしく、イメージは確かに読者の頭の中に生まれ、このテクニックはなんだろうと考えてやみません。
なお、作者様は過去に、かの有名な児童文学『ごんぎつね』をBL化されています。ごん、おまえBLだったのか。
しょうもない人間の性をけもののかわいさで萌えさせてしまう(男同士で)、ものすごいテクニックをお持ちの作者様だと思いました。
※たぬきの発情期は3月だそうです。