題材の時点でかなり珍しく、まずそこに惹かれました。
汲み取り屋、浄化槽清掃という、普段は意識されにくい仕事を正面から描きながら、決して美化しすぎず、「臭い」「重い」「分からない」「逃げたい」という主人公の本音も丁寧に書かれているのが良いです。
彩乃がいきなり成長するのではなく、何もできない自分に落ち込み、失敗し、それでも少しずつ“見るべきもの”を覚えていく流れに説得力があります。
ヒデさんの無口な厳しさも、ただ怖いだけではなく、仕事への誇りと責任がにじんでいて印象的でした。
誰かがやらなければ社会が止まる。
そんな仕事の重さと温かさが伝わる、応援したくなる作品です。