第十一話:ポーション作りの第一歩
王都の外れにある、静かな商業地区。アルベルト・フォン・クラウゼルは、その日の仕事を終えて、少し休憩を取るべく店を閉めた。店内ではミラとレオが忙しく働いており、アルベルト自身は新たな挑戦に向けての準備を進めるべく、市内の薬草師の家を訪れることにした。
アルベルトが目指すのは、ポーション作りの職人だ。王都では、薬草師として知られる職人が数人おり、その技術は高く評価されている。しかし、ポーション作りには特殊な技術と知識が必要で、簡単に雇うことができるわけではない。
そのため、アルベルトは慎重に準備を進め、最初に接触する職人を決めていた。それは、サミュエル・グレイヴという中年の薬草職人だった。彼の評判は良く、王族や貴族の間でも信頼されている存在だ。サミュエルは長年薬草の栽培とポーション作りに携わり、数々の実績を上げてきた。
アルベルトは、サミュエルの家に向かい、扉をノックする。しばらくしてから、柔らかな声が中から聞こえた。
「どなたですか?」
「こんにちは。アルベルト・フォン・クラウゼルと申します。お時間を少し頂けますか?」
扉が開き、中からサミュエルが顔を覗かせる。
「アルベルト殿……お久しぶりです。どうかしましたか?」
「実は、少しお話がありまして。ポーション作りに関して、あなたのお力をお借りしたいのです」
サミュエルは少し驚いた様子を見せたが、すぐに表情を引き締める。
「ポーション作り、ですか。何か特別な依頼があるのでしょうか?」
「はい、実は新たにポーション作りを商売として始めようと思っています。そのため、あなたの技術がどうしても必要なんです」
サミュエルは少し考え込んだ後、ゆっくりと話し始めた。
「商売としてポーションを作るとなると、かなりの準備が必要です。薬草の栽培、調合、そして何より品質を保つための管理が大変です」
「わかっています。そのため、あなたの知識と経験を活かしたいと思っています。もちろん、報酬もお支払いしますし、長期的なパートナーシップを結びたいのです」
アルベルトはその言葉に続けて、サミュエルに具体的な条件を提示する。報酬や条件に対する彼の反応を慎重に見守りながら、サミュエルは考え込み、やがて頷いた。
「わかりました。あなたの熱意には感心しますし、ポーション作りは私も再び挑戦してみたかった。協力しますよ」
「ありがとうございます! これからどうぞよろしくお願いします」
数日後
アルベルトは、サミュエルと共に本格的にポーション作りの準備を進めていた。最初に作るポーションは、王族や貴族からの需要が高い回復ポーションだ。戦争や冒険の際に必要とされるこのポーションは、最も基本的でありながら高い需要がある。
そのためには、まずは薬草の調達から始めなければならない。しかし、王都の周辺ではその材料が限られており、アルベルトは冒険者を雇って、王都外の危険な場所から薬草を採取させることに決めた。
「ミラ、レオ、冒険者を雇う準備はできたか?」
「はい! さっそく冒険者ギルドに足を運んできました。数人、信頼できそうな冒険者を見つけてきました」
レオがアルベルトに報告し、アルベルトはその情報をもとにギルドへ足を運ぶことにした。冒険者ギルドは王都の北部にあり、冒険者たちが集う賑やかな場所だった。ギルド内には様々な職業の冒険者が集まり、次々と仕事を受けては出発していく。
ギルドの受付に近づいたアルベルトは、簡単に挨拶をし、ギルドマスターに話しかける。
「ギルドマスター、少しお時間をいただけますか?」
「おお、アルベルトか。どうした?」
「実は、薬草を集めるために冒険者を雇いたいのですが、いくつか質問があります」
ギルドマスターは少し考えた後、アルベルトに目を向ける。
「薬草の採取か。王都の周辺には色々な薬草があるが、取り扱いには注意が必要だ。特に危険な薬草もあるし、他の魔物が潜んでいる可能性もある」
「それは理解しています。安全に薬草を集めるために、信頼できる冒険者を雇いたいと思っているのですが」
「なるほど……信頼できる冒険者なら、エリック・ストーンという男がいい。彼は薬草に詳しいし、何よりしっかりしている。少し割高だが、安心できる仕事をしてくれるだろう」
ギルドマスターは、エリック・ストーンという冒険者の名前を教えてくれる。アルベルトはその名前をメモし、すぐにエリックを見つけて声をかけることにした。
数時間後
ギルド内の一角に座っていた男、エリック・ストーンにアルベルトは近づいた。彼は中年の冒険者で、身なりは整っており、鋭い目をしている。どこか頼りがいのある雰囲気が漂っていた。
「エリック・ストーンさんですか?」
「うん、そうだが。君はアルベルト・フォン・クラウゼルか?」
「はい。少しお話ししたいことがあります。薬草の採取をお願いしたいのですが」
エリックは眉をひそめ、アルベルトをじっと見つめる。
「薬草を採取するのか……なかなか簡単な仕事じゃないぞ。どこに行くつもりだ?」
「王都外のエルダの森やカヴァル山脈にある薬草を集めたいと思っています。報酬はしっかり支払いますし、安全に采取してきてほしい」
エリックは少し考えるが、やがて頷いた。
「わかった、条件を飲む。だが、危険が伴うから報酬には少し上乗せを頼む」
「もちろんです。報酬については、後で相談しましょう。早ければ明日出発したいと思っています」
アルベルトはエリックと契約を交わし、薬草を集めるための準備を整えることにした。
その後、エリックと共に薬草を集めに行く日が近づく。アルベルトは、ポーション作りのために必要な材料が手に入ることを期待し、さらに商売の幅を広げるために動き続ける。ポーション作りの第一歩が踏み出された今、彼の商売はますます加速していくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます