何度生まれ変わっても出会い、そして何度も同じ結末へ向かってしまう二人。その設定だけでも強く惹きつけられますが、この作品の魅力は、単なる復讐譚では終わらないところにあると思います。
麦畑、踏切、川、夜の街、教室――時代も場所も姿も変わっていくのに、二人の間にある感情だけは形を変えながら残り続ける。その描き方がとても印象的でした。特に、殺す側の感情が「憎しみ」だけでは片づけられないほど濁り、繰り返されるうちに理由さえ摩耗していくところに、この作品ならではの怖さがあります。
また、記憶している者と忘れている者の非対称さが、とても残酷です。忘れている側の無垢さが、覚えている側にとっては何よりも許せないものになる。その関係性の歪みが、静かな文章の中でじわじわ迫ってきました。
読後には、「これは復讐なのか、それとも、もう復讐ですらない何かなのか」と考えずにはいられません。終わらない輪廻の中に閉じ込められた二人の因果が、冷たく、重く、長く心に残る作品でした。