土は覚えている
上畠みこ
土は覚えている
街が燃えていた。
「王様、バンザーイ!王様、バンザーイ!」
歓声が響き渡る。
「領土が広がりました」
側近がいうと、王は誇らしげに笑った。
「これで解放だ。隣国も、ようやく」
崩れた家の下で、赤ん坊が泣いていた。
涙は土に吸い込まれ、やがて何も聞こえなくなった。
遠くで、画面を見つめる二つの影。
「王様、嫌われちゃったね」
ぼうやがつぶやくと、
母親の指がわずかに震えた。
「嫌われたんじゃないの、ぼうや」
「恨まれるのよ。ずっと」
「みんな、いなくなっちゃうのに?」
母親は、黙って、画面を切り替えた。
別の星、別の街。炎の海。
「ほら、ちゃんと見ておきなさい」
「大事な記録なんだから」
暗闇に浮かんでいた船は、音もなく姿を消した。
燃え上がる大地に、
それが、じわじわと積み重なっていった。
土は覚えている 上畠みこ @8-miko-8
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