第9話_抜け出せない迷宮と一太刀の可能性
「それでゲームとは、どんなゲームですか?」
そう国王に問うと、長女に磁力を解放するように指示をしてこう答えた。
「こちらに来い。」
広々とした王の間には光が射すように計算された窓の外を見るように指示をした。
「おい。」
長男と長女に指示をすると国王は説明を始めた。
「ゲームは単純。この庭から脱出出来たら、おぬしらの勝ちだ。」
そう国王が言うと、庭の中から3メートルくらいの高さの壁が現れた。
「迷宮ってことね。」
国王は首を縦に振ると笑いながら答えた。
「単純じゃろ?この迷宮から抜け出せれば、おぬし等のことは、見逃そう。ただこの城の秘密を口外はしないという制約の下でな。」
「ん......あの野郎、、家族を道具のように使いやがって......」
レオンがそうつぶやいたが、国王の耳には聞こえていなかった。
リーンはレオンのつぶやきをはっきりと聞こえていたが、国王に確認をした。
「......国王様、ルールの確認をいいかしら?ルールとしては庭の先にある”ゴール”を突破すればいいのよね。」
国王は頷いた。
「そこで一つ確認なんだけど、壁を壊すのは問題かしら?」
長男がリーンを見ると笑いながら答えた。
「壊せるもんならな......俺と妹が作った壁だぞ、仮に3人の力を同じ場所にぶつけても壊れないさ。そして念のため、壁には妹の強大な電流が流れているからな。触れるだけで命の保証はしないぜ」
長男がそう言うとリーンは相手にしないかの如く国王に続けて確認した。
「私たち3人のうち、だれか一人が脱出出来たらクリアにしてもらえないかしら。どういったロジックがあるか分からないし、”絶対にゴールできない”ようになっているかもしれない、あなた方のルールでやるのよ。ここだけはお願いできるかしら?」
国王は少し考えこう答えた。
「おぬしらは捕まった身であることは理解しておるのか......うむよかろう。ただしもしクリアできなかった場合は、全員をその場で処刑とすることが条件だがいいかの?」
レオン、カーター、リーンは少し考えたが承諾した。
「ほしいもをお持ちしました」
少し遅れて側近が持ってきたほしいもを一かじりしてリーンはこう言った。
「今の状況に反して甘くておいしいわね。さあ、行きましょう。」
「ねぇ、レオン少し聞いていい?」
迷宮の入り口に行く途中でリーンは尋ねた。
「ん?なんだ?」
腕を頭の後ろで組みながらレオンは言った。
リーンは王子としての態度ではないことに驚きつつもこう聞いた。
「この城を抜けられたら何をしたいの?」
レオンは夢いっぱいかのようなキラキラした目をしながら、こう言い放った。
「うーん。この城の中のことしか俺は知らねぇが世界には武力が全ての国があると聞いたことがあるな。もし出来ることならその国に行って、自分の力を試してみてぇんだ。」
少し不思議そうにレオンのほうをリーンは見て加えてこう言った。
「自分の力を試した先に何を見るの?」
レオンが強い意志を持っているような、表情をしてこう答えた。
「分かんね。けど、間違いなくその先には何かがある。俺はそう信じているぜ。そのためにここまで剣を振り続けたんだからよ。」
そんな未来の話をしているとカーターは2人に対して尋ねた。
「あ、あのーー......。お二方は目の前が見えてないのか?失敗したら処刑されるんだぞ。なんで抜け出せる前提の話をしているんだ?」
レオンは笑いながら、カーターの背中をポンポン叩いていた。
「いやだって、リーンがこういうってことは何か策があるんだろうなと思ってよ。。まだ会って数時間しかたってねえが分かるんだよな」
(カーターは不安、恐怖に支配されていて、全体が見えていないわね......レオンからは信頼、希望しか見えていない。ただどちらも嫌なノイズはしないのよね。本心からそう思っている)
「そうね。まずは目の前のことだけど、この程度の迷宮には必勝法があるの。『右手の法則』って知ってる?右手を壁に当てながら進み続けるといずれゴールにたどり着くというものよ。絶対に不変の入り口と出口があるなら単純なのよ」
リーンがそう言うと、迷宮の入り口に到着した。
「じゃあ、予定通り進みましょう。」
そう言うと庭に落ちていた小石をリーンは壁に投げてみた。
バチバチという音が鳴り、小石が跡形もなく消え去り、少し焦げ臭いにおいにあたりは包まれた。
「これは......ホントに触れたらやべえな」
カーターはそうつぶやき右手の法則に従って進み始めた。
一方、庭の様子を見ていた国王は、グラスに入ったワインを飲みながらこうつぶやいた。
「出口のない迷宮へようこそ。せいぜい楽しませてくれよ。」
国王の後ろ側で青ざめた顔をして立っている長男と長女に向かってこう言い放った。
「この迷宮をクリアされたらどうなるか分かっているよな。」
長男が国王にこう返した。
「は、必殺の手段を二つも用意しているので、それはないかと」
「ふむ。それもそうだな。」
国王がそう言うと庭にめをやり、行く末を見守った。
リーンたちは道なりに進んでいた。
(順調ね。このペースだともうすぐゴールなはず......)
「この道をまっすぐ行って二つ目を左に曲がればゴールがあるはずよ」
リーンがそう言うと、カーターとレオンが質問した。
「何で分かるんだよ?」
「あら、さっき庭の上から見たときに全体は把握済みよ。さ、さっさと行きましょ」
リーンがそう言い、一つ目の十字路をまっすぐ行ったとき、ゴゴゴという音が聞こえた。
(何が起こったの?)
「おい、道がなくなったぞ」
レオンの声にリーンはハッとした。
「……計算外ね。壁自体を変動させるなんて、効率度外視の悪趣味な設計だわ。認めたくないけど、この『盤面』は私の負けよ」
カーターが絶望に満ちた声でこう言った。
「そんな......バカな。」
上で見ていた国王は笑っていた。
「やっぱり目の前で道がなくなる絶望の姿を見るのは面白いのう。いいタイミングで壁を動かしたな。さすが息子よ」
「ありがたきお言葉、二つ目の仕掛けについてももうそろそろ準備が整います。」
そう言われた国王は空になったワイングラスにワインを追加して庭に再び目をやった。
(正攻法ではまず無理ね。であれば、やったことはないけどアレを試してみようかしら)
リーンは突然足元にある小石を上に投げた。
(うん。何かに阻害されているものはないわね)
「おまえ、何をしてるんだ?」
レオンがそう言うと、続けてリーンはこう言った。
「なんかもう迷宮の攻略は飽きたわ......どうせこれ以上歩いてもゴールが出てくるわけではないんだし、残りの処刑までの時間で何をするか考えましょう?」
カーターは驚いた。
「何を......リーンこの状況をどうにかせずに諦めるというのか。ふざけるな。俺は認めないぞ。」
そういい、カーターは自暴自棄になりながらもゴールを探すべく、ひとりで勝手に動き始めた。
「勝手になさい、ただし死ぬなら静かにね」
カーターに聞こえているか分からないくらい遠くの距離でリーンがつぶやいた。
カーターが見えなくなった後にレオンはまじめな表情をしてリーンにこう聞いた。
「......おい。さっきのわざとだろ。それに諦めるとは俺は聞いてない。飽きたってことはお前のことだ何か解決策があるんじゃないのか?」
リーンは笑いながらも途中からまじめなトーンでこう答えた。
「あら......ばれてた?そうね。確かに私ならゴールすることができる。でもその前にレオン、あなたに約束してほしいの」
「この先、私の駒として動いてほしいの。強大なものと戦うために」
レオンは、静かにこう尋ねた。
「強大なものって?」
リーンは首を横に振った。
「今は分からない。けど何か大きいことがこの国だけでなく、全世界で動いている。それはそれは私なんてとってもちっぽけな存在。だからこそその強大なものに立ち向かうためにあなたの力が必要になると思っている。具体的ではないんだけどね......」
レオンは笑いながら剣をふるった。
「おう。分かった。よろしくな。ただ......駒って言い方だけはよしてくれ。”仲間”な」
(仲間......駒と何が違うの?)
リーンはレオンの返事を聞くと作戦を言い始めた。
レオンは驚いた表情をしていたが、納得したような表情で壁に向かって立っていた。
「さあ、あの傲慢な国王様が焦っている表情が見れないのが残念だけど、、作戦を開始するわよ。」
続く
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