間違えることへの恐怖を、ここまでリアルに言語化している事にまず驚く。
主人公・咲月の内側は「完璧にやらなければ」ではない。「0.1%でも可能性があるなら、それに飲まれてしまう」という感覚だ。
これは繊細さの話ではなく、もっと深いところにある認知の構造というレベルに到達している。
生きづらさを抱えた日常描写が、読み手の胸に刺さっていく。
謎めいた男・リュウの存在感も効いている。この人物との対話を通じて、咲月の内側が少しずつ掘り起こされていく過程が読みどころだ。
「生きづらさ」を外から眺めない。作者が内側から削り出したものだと、文章のそこかしこに滲んでいる。