最初は、微笑ましいのです。
でも物語が動き出すのは、主人公の語っている〝好き〟のほんとうの在り方がわかった後なのです。
つま→つみ→つむ→つめ→つも
頭韻の二文字。
字面と音の連なりで章を少しづつ進めていく仕掛け。
文字列という視覚的にもリズム的にも読者の意識を引き込む。
本作は、そんな構成です。
言葉遊びに仮託した思いの転落と執着の深まり。
それはポツポツとした区切りで語られます。
愛と執着は元が分かちがたいことが実感されていきます。
語り手自身の認識と外界の現実のズレが露出した後も、さらに歪んだ心情が深まっていく物語構成。
それは語られない余白を読者が想像する怖さをも誘うのです。
愛おしさと執着が同じ温度で語られる。
好きが狂気の範疇へ堕ちる。
甘く語られるおぞましさ。
どうぞ、ご堪能あれ。