“星夜の調べ”
第一世界ファストリア 砂漠地帯 隠れ里
深夜
「あれが便座だって」
「で、あれが小便漏らしそうで急ぐ男座」
「じゃああれボイン座ね」
「ボインってなぁに〜?」
「そりゃあもう……なあ?」「な」「男の夢だよなぁ?」
ライトは旅の中でシュウから教わった、星繋ぎの遊びを里の子ども達と一緒にしていた。なんてくだらねぇもんを作ってんだ、と思いながら、彼らを横目に眺めていたレフトは、姿の見えないシュウを捜す。後は寝るだけとなった今の内に、会議の内容とシュウの知識を照らし合わせておこうと思ったのだ。
「おいアホ。あいつはどこいった?」
「シュウなら多分あっちの崖で夜空眺めてると思うぜ。あいつも毎日飽きないよな」
ライトからシュウの居場所を聞いたレフトは、なんだってそんな所にいるんだと内心悪態を吐きながら、いつだったかライトが見付けた、里を一望できる景色の良い場所へ向かう。
十三周期の今。春はまだ遠く、砂漠の真っ只中にある渓谷の夜は、凍えるような寒さだ。崖に向かう傾斜を、白い息を吐きながら登っていく。背中にじっとりと汗の湿り気を感じながら、登り切った崖の上の高台。
そこには一人。昼間と大して変わらない服装で、夜の空を見上げるシュウがいた。
「あのアホみてぇに、また便座とかいう変な星の絵でも考えてんのか」
「そんなところでござる」
念の為防寒着を持ってきておいて良かったと、厚手の上着を手渡し、シュウの隣に腰を下ろしたレフトは、もそもそとサイズの合わない服に袖を通す姿を、星明かりと共に眺める。黙っていると印象ががらりと関わるシュウは、夜闇に消え入りそうな雰囲気で空をただ見上げている。レフトは何故か落ち着かない気持ちを抱きながら、この奇妙な動揺を悟られまいと、何事もないように隣へ話しかける。
「星座、だったか? 星同士を繋いで絵にして意味を作るなんて、お前にそれを教えたヤツは随分とロマンチストだったんだな」
「ロマンというよりも、初めは計算だったそうでござる。昔の人が季節の変わり目などを正確に計算するために、夜空に浮かぶ星に目印を付けたのが始まりだったとか」
夜空を見上げるシュウは、遥か遠くの光を指でなぞる。
「星の光同士を繋げ、魚座や獅子座、双子座という名前を付けて、そうして作った数々の星座を、さらに黄道十二星座とかってグループ分けをして……それが羊飼いであるとか、数学者であるとか、船乗りだとかの間に広がって行き、やがて作られた星の形に、物語が生まれたのでござる。
こういう星座はこういうことがあって作られたんだとか、昔こういうことした人が、星として宙に上げられたんだとか――――そういったことが、何百年も、何千年も先の人達に語り継がれていく。
それが歴史であり、歴史とは人の紡いだ壮大な物語、その一遍なんだ……と。
そういう風に教わった、っていう知識はあるのに、いつ、誰からどう教わったのか……拙者はどうしても、思い出せない」
里の人達と話して、改めて思ったのだと。過去のないシュウは語る。
「レフト殿、思い出がないことは存外、さみしいことなのでござるな」
イスカリアの言葉をレフトは思い出す。悪魔族の部隊にいながら、悪魔族でなかったというシュウ。知る由もない、幼いシュウはどんなものだったのだろうかと、ガラにもなく想像する。
「お前は……それが、忘れていた方が良かった記憶であっても、思い出したいと思うか?」
「思い出したいでござる。後悔したとしても、なかったことにするのは、違うと思うが故に」
満天の空の下。星空を写した様な黒髪の
「少なくとも、拙者に沢山のことを教えくれた人のことは覚えていたい。その人はきっと繋いで欲しいものがあって、おれに知識を託したのだと思うから」
この世界の夜の闇は暗い。一寸先すら見通せない暗闇は、星の明かりがあったとしても暗すぎる。その中でひとつ、星の光を吸って淡く輝く銀の瞳が、酷く優しく輝いていた。
「なら、さっさと色々思い出さねーとな。おら寝転ぶな座り直せ。昼間の会議の内容教えてやるから、知ってること全部吐け」
「あの、拙者記憶喪失で二人と遭うまでのことは本当にこれっぽっちも思い出せないのでござるが」
「知ってることって言ったろ。俺が今から言う事とお前の知識の齟齬を確認するから、真面目に話を聞けよ」
「もう深夜ござるよ……眠たいでござる……」
文句言うな、と頭をはたくレフトに、シュウは「布団が呼んでいるでござる」と泣き言を言いながら、聞く姿勢を取るのであった。
レフトとシュウの知識の擦り合わせは、初めにイスカリアが口にした悪魔族のことから始まった。
「つーかお前悪魔族の部隊にいたって話だよな? お前マジで悪魔族について何も知らねーのか? 悪魔は概念だ何だって言ってなかったか?」
「悪魔は実在しないものとみなさせていたでござる。会議で出てきた勇者とか魔王みたいな感じで、ゲームとかの題材にされてたりしたでござるが」
「娯楽小説とかに出てくる程度の存在ってことか? ならその悪魔族の見た目が、ゲームとかに出てくる悪魔にそっくりだったとかってことか?」
「いや、拙者の知識にある異世界人は、見た目は自分達と変わらない、って情報がある故、悪魔みたいな角とか尻尾はなかったはずでござる……多分……恐らく」
「なんだそれ。お前の知識の中の悪魔ってどんな姿してんだよ」
『異世界人=神命族』で間違いなかったよな、と。前にシュウが口にしたことを思い出しながら、概念の産物でしかない悪魔についてレフトは尋ねる。何せ悪魔族の存在については語られているこの世界でも、呪いを使うという点以外、悪魔族について詳細の情報は何一つないのだ。半分流れで、半分好奇心で訊ねたレフトに、シュウは思い出すようにむむっと眉を寄せて。
「そうでござるな……よくあるパターンは、浅黒い肌で、頭には角が生えており、コウモリの様な翼を持ち、先端が鏃の様な尻尾がある」
「……あ?」
「狡猾で悪徳を好み、人を堕落の道に誘う……みたいな感じでござったかと……ぬ? どうしたでござるか?」
悪魔の特徴を聞いたライトは顔を抱えた。マジか、と呟き、これまで謎でしかなかった長年の疑問に、終止符がついたとばかりに深いため息を吐いたライトは、不思議そうにこちらを見てくるシュウに言う。
「……あのよ。前に俺達が魔人族だって話、しただろ?」
「したでござるな」
「別世界が落ちてきた時、その世界にいた人間を一つの種族と定義し、神命族が命名するって決まりがあるんだが……俺達魔人族は他の種族とは違って、この世界に落ちて三日位で命名付けされて以来、色んなヤツらから嫌われて来たんだが――――」
顔を覆っていた手を、レフトはゆっくりと下ろした。夜闇の中で見えにくいが、微かな星の明かりで照らされる彼の肌の色は、いつの間にか浅黒く、そして頭部には一対の角が生えていた。白目が真っ黒に染まったレフトの顔のすぐ近くを、彼自身の臀部から伸びた、先端が鏃の様な尾が鞭のように揺らめく。
それはたった今、シュウが語った通りの、悪魔の姿そのものであり。
「もしかして、俺達のこの姿って、お前達からしたら尋常じゃねぇくらい気味が悪い――――」
――――そんなおぞましいものであるのか、と。
夜闇が視界が良好ではないことを盾に、確認の為にと本来の姿を晒したレフトを目の当たりにしたシュウは、半開きの口から「……か」と息を漏らした。
「っっっこいいな、それ……!」
「………………は?」
そして直後。銀色の瞳をさらにキラキラと輝かせながら、レフトの角や尻尾の観察を始めた。
てっきりその表情が曇り、歪むものだと思っていたレフトは、さながら初めて車を見た少年のような眼差しを向けてくるシュウに、心底から困惑の声が出た。
魔人族はその見た目から、特に神命族から差別対象にされてきた。故に人前に出る時は擬態を解くな、正体を晒すな、というのは、幼少の際に教えられた常識だ。事実、他の魔人族が不慮の事故で本来の姿を白昼に晒したことで、それまで友好的だった他の種族達から世界の果てまで追い立てられたという話を聞いたことがある。先日も都市で、魔人族であるとバレただけで向けられた視線の冷たさを、今でも覚えている。
それが、コイツは何なんだと。未知の生物と相見えたかのような気分であるレフトは、混乱収まらぬまま、
「その尻尾って自分の意思で動かせられるのでござるか?」
とか、向けられたことのない質問を口にするシュウに、「他に言うことねぇのか」などと思いながらも、呆然と。
「動かせるが……なんだ? お前、これ……何言ってんだお前?」
「? 何がでござるか?」
「何がって……」
「あ、白目とか爪とか黒くなるのでござるな。え、じゃあもしかして血の色とか違ったりするのでござるか? 緑とか、青とか……」
「いや……血の色は赤いままだけどよ」
「そうか、おれと同じ赤色か。そこはお揃いでござるな」
――――いやそうじゃなくて。
もっと他に言うことあるだろうが、と。いつものように世の常識から外れた調子で、明らかに世間一般から逸脱した反応をするシュウに、レフトは情緒を掻き乱されていた。思うことは山のようにある。だが言葉にする途中で思考の回路が処理不全を起こしており、いつもは反射的に出てくる嫌味や皮肉でさえ出てきやしない。
というか、お揃いって。他にあるだろうが。血の色なんて当たり前だろ。別の世界で産まれ落ちたとしても、俺は他のヤツらと変わんねぇ、同じ人なんだから――――
考えが纏まらないレフトは、激しく揺さぶられる感情を表すかのように忙しなく揺れる自分の尻尾を興味深けに目で追うシュウに、言い表せぬ感情を抱く。――――俺達はアイツらとは違う、と。これまで散々思い知らされてきた線引きを、たやすく、越えようとする、シュウを、その手を――――
「近付くんじゃねぇっ!」
――――触れられて、たまるか。
どうしようもなく、弱い、俺を。醜い、俺自身を。
気が付けばレフトは、声を張り上げていた。
シュウの眼がこちらを見据える。その透き通るような瞳が、必死に隠しているものを暴き立てる、恐ろしいものに思えた。叫んだお陰で、胸の辺りで堰き止められていたものが正常に流れ始め、はたと、我に返る。乱された己の姿を誤魔化すように、レフトは思ってもいない言葉を紡ぐ。
「っ――――俺、の、こっちの姿は、普段より身体の強度が段違いに跳ね上がる。爪もそうだが、その気になりゃ尻尾で岩を貫ける。不用意に触ったり近付いたりするんじゃねえ」
嘘だ。爪だってその気になれば引っ込められるし、尻尾も自分の意思である程度自由に動かせられる。それでも口から出た言葉は、純粋な好奇心だけで自分を見てくる者を遠ざけるものだった。
分かっていた。誤魔化したってもう遅いことは。少なくとも自分を悪く思ってはないないだろうその人の手を、己は払い除けようとしているのだと。
頭では分かっているが、心がついていかない。なにせこんなことは初めてで、どうしたらよいのか、本気で分からないのだ。線を引いたその内側に、自然と踏み込んでこようとする者など。それが不快だとは全く思っていない自身の心境も、向けられる視線の穏やかさも。
今、レフトはシュウから向けられる全てが恐ろしいものに感じられていた。全く知らない、不可解で、未知なるもの。これ以上こちら側に踏み込まれてしまうと、自分の中で決定的な何かが変わってしまう。そんな予感だけが確かにあった。
シュウは、静かだった。静謐とした夜の中で、爛々とした輝きを湛えていた瞳は、静寂の湖面のように星光を反射しながら、今、ゆるくその手が持ち上げられる。
「レフト殿。拙者と手を合わせるでござる」
「…………お前、人の話聞いてたか?」
マジでコイツ空気読めねぇな、とここに来てマイペースぶりを発揮するシュウに「よきかなよきかな」と。何の目論見は知らないが急かされるレフトは、変に力の入っていた肩から緊張が抜けていくのを感じながら……躊躇いはあるものの、渋々シュウの左手から少し離して、右手を翳す。
身を乗り出してまで、ぺちん、と合わせてきたシュウの左手は、レフトのものより一回り以上小ぶりで、指も細い。成長途中というような頼りない手であるが、重なり合った手のひらは温かく、そしてしなやかな五指は鋼のように硬く――――
「……いや、硬ぇな? なんだこれ、手甲でも着けてるみてーな硬さだぞ?」
奇妙な感覚にシュウの指の間に己の指を絡ませ、にぎにぎと触り心地を確かめるレフトに、シュウは「そうだろう」と頷く。
「気が付いたでござるな。実は拙者の身体には、常に皮膚の上を薄い鎧のようなものが、膜のように張ってあるようでござる。元々丈夫でござるが、これのおかげでもっと頑丈になってるらしいでござる」
「なんだそれ。どういう原理なんだ」
「それでござるが、これ以上は記憶と密接しているのか全然、思い出せず……知識のはずでござるが、何がどうしてこうなっているのか、皆目見当もつかないでござる。
一つ言えるのは、この鎧のおかげで拙者は人より丈夫である、ということでござる」
だからと。シュウは、レフトの絡めた手をそっと握る。その手の温もりを分け与えるように――――互いの熱を分け合うそこに、境界も違いもないのだというように。
「傷付けたいのなら、たくさん傷付けてもよいでござるよ。たとえ傷が治ってしまっても、痕が残るのならば、それはそれできっと……いい思い出になる」
――――やっぱり、コイツはおかしいのだ。
何度目になるか分からないシュウの、現実離れした言動のズレに、わけもなく胸がいっぱいになりながら、レフトは呆れ返る。最早ズレを指摘する気すら起きない。無遠慮に土足でこちらのテリトリーに踏み込んできているのだと、たとえ口にしたところでこんなにボケまくりのシュウが理解するかも怪しい。
――――だからもう、観念するしかねぇな。
悟りを開いた心境であるレフトは、もう一度深々とため息を吐いた。そして、自分の葛藤など露知らず、好き勝手に振る舞っているシュウの頭を、手加減した尻尾で小突いた。
「このクソボケガキ。忘れたもん思い出してから言いやがれ」
「それはごもっとも……ところでなにゆえレフト殿は角と尻尾生やしたのでござるか?」
「実物見た方が色々と手っ取り早いだろうが。……まあ、こうなるとは思ってなかったけどな」
「こうなるとは……?」
「うるせぇなボケ。つーかいつまで人の尻尾見てんだ。変態かてめぇは」
「!? 急に何故に!?」
「こちとらこの姿は下着つけてねぇみたいなもんなんだよ。あんまジロジロみんなボケ」
「そ、そうなのでござるか……でも見せてきたのレフトではアいたぁっ」
額をもう一度尻尾で叩く。この衝撃で重要な記憶の一つでも思い出してくれないかと、レフトは呆れ半分に思った。
「……で、なんだ。何をどこまで話をした?」
「悪魔族の話から、拙者の知る悪魔は実在しないものでござるという話でござった」
角との尻尾を仕舞い、見慣れた人間の姿に戻ったレフトは脱線した話を本筋へ戻す。
「とりあえずお前の知識によると、悪魔族がいた時代、少なくともお前のいた部隊は悪魔族とは呼ばれてなかったってことだな。……まあ後世になって神命族が名前をつけた可能性もあるか」
とりあえず悪魔族についての話は切り上げたレフトは、次にイスカリアが話に出した神の力について話を移す。
「神命族は魔術が使えなくなった代わりに、神の力を使うようになったらしいが……これについて何か知ってる事はあるか?」
「
然るべき神殿で洗礼を受けた者が、神の威を示す為に振るうもの。洗礼を受けられる神は一人につき一柱。振るえる力の範囲や強弱は個人によって差があり、研鑽を重ねることによって神力は洗練され、最終的には
「カムイ……ってなんだ。神の力のもうランク上みてーなやつか?」
「そんな感じでござる」
脳内知識を読み上げるシュウは、やはり神の力を知っていたらしい。神力は千三百年前の大戦時から神命族が使っていた。その事実を確認したところで、レフトはイスカリアとの議論にも出てきた創世神話についても問う。
「神命族が神力を使うには神の名前を言わないといけねぇらしいが……お前、ファストリアの創世神話については知ってるか?」
「初めこの世界には暗闇と虚無しかなく、それを憐れんだ神様達が世界を創った……って話でござるか?」
「そうだ。そこに登場する神々の名前が思い出せねーって話だが、お前は知ってるか?」
「む……?」
レフトの問いかけに、シュウはぱちりと一つまばたきをする。まるで予想外のことを言われたとばかりに、まじまじと視線を返してくるシュウに「なんだよ」と訝しげにレフトが睨み返せば、シュウは首を傾げ。
「レフト殿は、知らないのでござるか?」
「なんで俺が千三百年生きてるイスカリアが忘れてる神の名前を知ってると思ったんだお前?」
「普通にエリス殿から教わっているものとばかり、拙者思っていたのでござるが……?」
「……待て。なんでそこでエリスの名前が出てくる?」
女商人エリス。レフトとライトが冒険者として独り立ちした後も、何かと気にかけてくれる人物。シュウも身分登録をする際にも、世話を焼いて貰っていた貰。だがなぜ神の名前の話で、ただの商人でしかない彼女の名前が出てくるのか。
あまりにも不自然であった為真意を訊ねると、シュウはますます不思議そうな様子で。
「……まさか、知らないのでござるか?」
「何をだよ」
「彼女、代行者でござるが?」
代行者。
洗礼を受けた神の神官。その中で、最も位の高い信徒。神の代わりにその威を人々に示す、神の御業の再現者であり――――各神の神殿における、最高権力者。
「なんで、そう言える?」
予想もしなかった言葉の出現に、夜の寒さとは別の理由で声が震えるレフトに、シュウは指でエリスの名前を宙に綴りながら。
「教会で洗礼を受けた信徒は、神の名を名乗る権利を賜わり、同時に自身がどの神の信徒であるのか公言しなければならない制約にその魂を縛られることになるでござる。……神の名を忘れたイスカリア殿はどうか分からないでござるが、基本的にその者は、自らが仕える神の名を偽ることができないでござる。
拙者、エリスの名前を聞いた際に少々気になったので、実際に名前を書いて貰ったのでござるが……普通に書かれたでござるよ。
――――エリトート=インヴェイア、と。
“インヴェイア”は『豊穣』と『侵略』を司る、創世神話にも語られる神の名前でござる。
そして神の名前を名前を“=《イコール》”で繋ぎ、名乗ることを許されているのは、神にその信仰を認められた代行者だけでござる」
背筋が、凍りつく。
走馬灯のようにエリスとの思い出が、脳裏を過ぎる。耳を疑うような言葉に、横っ面を引っぱたかれた気分であるレフトの中で、悪寒と共に、頭の中で離れていた何かが点と線で結ばれる感覚がした。
同時刻 第一世界ファストリア 砂漠地帯 隠れ里付近
「作戦地点を捕捉。これより殲滅戦を開始する」
「繰り返す。殲滅戦を開始する。
目的の少年二名以外は速やかに殲滅されたし。これは神命族王家の勅命である」
「神命族の騎士達。我が故郷、神命国家忠実なる神々の信徒諸君。
久し振りの、最後の殲滅戦よ。心ゆくまで、蹂躙を楽しむといいわ」
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