帰る場所は消えた。それでも、一緒に行く人がいる。
海辺のテヴァ村で、家族や村人に愛され、巫女として舞を捧げていたミナ。
その日常は、異世界から来た勇者を名乗るグレンの襲撃で一変する。
「魔王」と呼ばれ、命を狙われるミナ。
彼女を庇って重傷を負うナギ。
ナギを救いたいという願いから、ミナの治癒魔法が目覚める。
第一章まで読みましたが、何より惹かれたのは、この三人です。
ミナは、優しくても、自分の強い意思を持っている。
グレンは、意地を張りながらも、格好悪い自分と向き合い始める。
ナギは、頼もしさの奥に、隠し切れない弱さがある。
ぶつかり合いながら、助けたり、助けられたり。
互いの行動によって、少しずつ相手を見る目が変わっていく。
その過程が、読んでいてわくわく嬉しくなるんです。
そして、なんといっても掛け合いが楽しい。
「そりゃ俺は、異世界転生した勇者だからな」
「は?」
「世界を救わないといけないわけよ」
「施療院で頭を診てもらった方がいい」
「ひでえ!?」
気に入らない相手のはずなのに、妙なところで息が合う二人。
その間で笑うミナ。
戦いの場面だけでなく、
いつしか、こうした何気ないやり取りも楽しみになっていました。
けれど、三人を待つのは穏やかな時間ばかりではありません。
帰るはずだった故郷が消え、それぞれに大切な人を探す旅が始まる。
誰かを大切にする気持ちの温かさと、その気持ちが生む危うさ。
その両方を抱えた三人が、これから何を知り、何を選ぶのか。
『海に沈んだ箱舟の秘密』も気になります。
でも今は、それ以上に――この三人で旅をするところを見ていたい。
そう素直に思える冒険ファンタジーです。
*
本作は、この作者様の初投稿作品なのに、
すでに六十万文字を超える、読み応えのある長編ファンタジーになっています。
私の読むペースだと、読み終わるのに三年くらいかかるかもしれませんw
あなたもご自分のペースで、三人の行く先を一緒に見届けていきませんか~♪