魔物の侵攻によって滅亡した王国の第二王子フェリオン。
彼は死の寸前、かつて自分が婚約破棄をして追放してしまった令嬢リュミエールのことを想い、後悔を抱えながらタイムリープする。
そこは、まさにその婚約破棄が行われた「あの舞踏会の日」だった——。
今度こそ彼女を救い出す王子の決意に満ちた冒頭から、一気に物語へと引き込まれました。
本作はいわゆる「令嬢側の逆転劇」ではなく、後悔を抱えた「王子側のやり直しと贖罪」が軸となり、力強く物語を牽引していきます。
特に魅力的なのは、どこか謎に包まれたリュミエールのキャラクター描写です。
彼女が秘める謎ゆえに物語への好奇心が掻き立てられ、さらにフェリオン自身が万能ではなく、兄に逆らえない立場という絶妙な制約がある設定も、展開をよりスリリングにしていて楽しいです。
長年、誰からも愛情を向けられなかったリュミエールの孤独など、キャラクターたちの繊細な心情にそっと歩み寄る筆致も大きな魅力です。
まだ拝読の途中ですが、散りばめられた不穏な伏線や、動きの見える恋愛描写など、見どころが満載で、先の展開が楽しみでなりません。
巧みな心理描写によって鮮やかに彩られた、切なくも温かい「救済の物語」をぜひお楽しみください。