エイプリル・フールには人を悲しませるような嘘をついちゃいけない決まりがある。
でもエンコ詰めたり、ホトケを溶かしたりする連中に悲しみなんてモンはないので、何でも言っていいわけだ。
嘘みたいな世界のなかで生きる愚者が唾を吐くような話。
・
どうやらこの作者は先日死んじまったらしい。
死んじまったことを書けるんだったら、どんな小説家だって我先にとペンを握るに違いねえ。
名だたる文豪の腕が墓場よりにゅっと飛び出し、河童忌に尋ねた人々を仰天させ、数世代のブランクをものともせず、文章を書き上げ、自転車で馴染みの出版社に向かおうとしたら、厳しくなった道路交通法によって、全員頭を下げながら青切符を切られるのだ――
総じて現し世でうつつを抜かしたような一作である。
煽り運転が趣味になっている主人公。これは間違いなく、後にひどい目に遭う奴!
タイトルで「死にました」とあるので、どのようにして彼がろくでもない目に遭うのだろうと見守らずにいられなくなります。
馬村ありんくん。どうも反社に属しているようで、煽り運転はしまくるし、仲間の剛ちゃんとは明らかに犯罪なことをしているし、倫理観はどこにもありません。
そんな彼がちょっと天使や悪魔のささやきに負けてアルコールを摂取したところから事態は急転し……。
語り口が軽妙で、「酔っている時にだけ見える友人」が現れたり、馬村くんの精神世界も特殊なのが面白いです。 どことなく「トレインスポッティング」的なカルト映画の世界を垣間見ているような楽しさも。
そして最終的に迎える結末。また映像的な楽しさがあって、色々と悲惨なんだけどつい頬が緩んでしまう。
色々と「常識」から踏み出した先の世界がテンポよく展開され、最後まで一気読みできる楽しいホラー作品でした。