「探し求めていたものは足元にあった」という一言が、読了後に深く効いてきます。宇宙にばかり向けられがちな知的生命体探査を、東シナ海の海底1800メートル・熱水噴出孔の超好熱菌へと反転させる着想が見事。素数列、そしてその間隔もまた素数列という信号の提示が鮮やかで、「我々は3年間、気づかずに対話していた」「向こうが3年かけてこちらの言葉を学んでいた」という会話に痺れました。脳も神経もない単細胞の集団知性という主題を、抑制の効いた筆致で描き切った良質なハードSFです。