第17話:選べ、“進む未来”か“戻る未来”か
「……奥、あるな」
俺は遺跡のさらに奥へ続く通路を見つめた。
さっきの“声”。
そして、“もう一人の俺”。
「……正直、行きたくねぇな」
『フラグで草』
『でも行くんだろ?』
「引き返すって選択肢もあるわよ」
アカリが静かに言う。
「今なら、まだ」
「……」
確かに、それも正しい。
だが。
「……行く」
そう答えていた。
「だと思ったわ」
セラが小さく笑う。
「あなた、そういうタイプだもの」
「止めないのか?」
「止めない」
即答。
「むしろ――」
一歩、前に出る。
「一緒に行く」
「……だろうな」
アカリも、少しだけため息をついて。
「……付き合うわよ」
「ありがとうな」
「勘違いしないで」
そっぽを向く。
「放っておけないだけ」
『ツンデレきたwww』
三人で、奥へ進む。
通路は、さっきよりも暗い。
そして――
「……なんだこれ」
突き当たり。
そこにあったのは。
二つの扉。
『分岐きたああああ』
『ゲームじゃん』
左の扉。
右の扉。
それぞれに、文字が刻まれている。
「……読めるか?」
「ええ」
セラが近づく。
「左は――」
少しだけ目を細めて。
「“安定”」
「……右は?」
アカリが続く。
「“変革”」
「……」
嫌な予感しかしない。
『どっちも地雷で草』
その時。
――ピィィィン
また、あの感覚。
「……っ!」
「ユウマ!?」
「……来る」
視界が、揺れる。
そして――
“見えた”。
二つの未来。
左の扉。
平和な日常。
安定した配信。
笑っているアカリとセラ。
「……いいじゃん」
だが――
どこか、“違和感”。
「……薄い」
感情が、浅い。
そして、右の扉。
崩壊した世界。
戦い。
血。
そして――
笑っている、“もう一人の俺”。
「……っ!」
視界が戻る。
「どっち見えたの?」
セラがすぐに聞く。
「……」
少し迷って。
「……両方、最悪だった」
「は?」
「左は、嘘っぽい」
「右は、地獄」
沈黙。
『詰んでて草』
「……どうする?」
アカリが静かに聞く。
「戻る?」
「それもありだな」
だが。
「……」
さっきの言葉が、頭をよぎる。
“選ばなかった方だ”
「……」
ゆっくりと、右の扉を見る。
「……こっちだな」
「……理由は?」
セラ。
「なんとなく」
「は?」
「でも――」
一瞬、間。
「逃げるのは、違う気がする」
「……」
アカリが、少しだけ目を細める。
「……後悔しない?」
「するかもな」
正直に答える。
「でも」
「それでも、こっちだ」
沈黙。
そして――
「……分かった」
アカリが頷く。
「なら、ついていく」
「私も」
セラも続く。
「その選択、最後まで見届ける」
「……ありがとう」
手を、扉にかける。
「行くぞ」
――ギィィィィ
扉が、開く。
その瞬間。
「――ようやく来たな」
「……っ!?」
聞き覚えのある声。
その先にいたのは――
“もう一人の俺”。
「……遅かったな」
笑う。
完全に、同じ顔。
だが。
その目は――
明らかに、狂っていた。
『うわあああああああ』
『対面きたあああああ』
「……お前」
「やっと会えたな」
一歩、近づいてくる。
「“俺”」
空気が、張り詰める。
「ここからだ」
そいつは、楽しそうに言った。
「全部が始まるのは」
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