第11話:Sランクダンジョン、普通に死ぬ場所でした

「……ここが、Sランクか」


ダンジョンの入口を一歩くぐった瞬間。


空気が変わった。


重い。

冷たい。

“圧”がある。


『空気やばい』

『今までと別ゲー』

『これガチで危険なやつ』


視聴者数:50万 → 68万 → 81万


「……今までと全然違うな」


隣で、アカリが真剣な顔で言う。


「当然よ」


「ここは“上位探索者専用”」


セラも続ける。


「一歩間違えれば、即死」


「……物騒だな」


だが、その時点で分かっていた。


“ここは、本物だ”


「……行くか」


一歩、踏み出す。


その瞬間。


――ピキッ


「……?」


足元から、小さな音。


「ユウマ!!」


アカリの叫び。


次の瞬間。


床が、崩れた。


『落ちたあああああああ』

『トラップ!?!?』


「――っ!」


落下。


真っ暗な空間へ。


「……やば」


だが。


【スキル発動:《確率支配(バグ)》】


「……大丈夫だな」


なぜか、“確信”がある。


落下中。


壁を蹴る。


角度を調整。


「ここ」


――ドンッ


無傷で着地。


『は??????』

『今のどうやった!?』


「……普通に危なかったな」


だが、問題はそこじゃない。


「……ここ、どこだ?」


上は完全に塞がれている。


戻れない。


『詰みでは?』

『初見殺しすぎる』


その時。


「ギィィィィィ……」


背後から、音。


「……やっぱ来るよな」


振り向く。


そこにいたのは――


“異形の群れ”。


さっきまでとはレベルが違う。


数も、質も。


『無理無理無理』

『Sランク怖すぎる』


「……どうする?」


静かに呟く。


だが、答えは決まっている。


「やるしかないか」


ナイフを構える。


その瞬間。


【スキル発動:《確率支配(バグ)》】


さらに――


【《確率強化(バグ)》同時発動】


「……お?」


いつもと違う感覚。


世界が、さらに“鮮明”になる。


「これ……」


すべてが分かる。


未来が、確定している。


「……完全に見えてるな」


一歩、踏み出す。


最初の一体。


回避。


即、急所。


一撃。


「……軽いな」


二体、三体、四体。


すべて、同じ。


“当たる未来”しかない。


『おかしいおかしいおかしい』

『無双始まったwww』


数秒後。


そこには――


何もいなかった。


「……は?」


自分でも引く。


「終わり?」


『早すぎるだろwww』

『Sランクとは』


その時。


――ゴゴゴゴゴ


「……今度は何だ」


地面が、揺れる。


そして――


壁が、割れた。


「……おいおい」


そこから現れたのは――


今まで見た中で、最大の魔物。


『ボス!?!?!?』

『早すぎるって!!』


「いや、まだ入口だよな?」


普通じゃありえない。


「……まあいいか」


ナイフを握る。


「どうせ――」


笑う。


「全部、当たるしな」


その瞬間。


巨大な魔物が、動いた。

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